今私が生きることは、針の穴を通すようなこと
「だからさ、環くんは”優秀な記者”になっちゃってたんだよ」
じわりじわりと汗が滲んだ。
デスクトップパソコンの前に座っている大学教授が、チラリとこちらを見る。
私はその教授の視線から逃げるように、本棚へと目を逸らした。「ジャーナリズム」の文字が目に入り、塞がった気持ちがさらに沈んでいくのを感じた。
転職して5ヶ月が経った。新しい会社では失敗をしながらだが、少しずつ成果も出てきて、やりたかったシェアハウスの運営に携われている。
なのに、である。
「なんとなく退屈」という状況