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環のストーリー

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生きる姿を、音楽と。環のストーリーを紹介します。
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#小説

この泡に救われたいと思って顔をうずめつづけた

ニキビができたときの心境って、「あーあ」だ。 「あーあ、またこんなところにできてしまった…

雨の中でも駆け出せた

「もっさん、もっさんってば!!!」 店長の浅井さんの声にハッとした。 コンビニの店内に流…

印鑑みたいな恋をした

「おはようございます。早起き頑張ったね」 学校で使う紙よりは少し厚い紙に赤い丸が並ぶ。 …

それ以上でも以下でもない人間関係

 誰かにいう必要もない思い出がある。 私より10歳年上の教師、時田さんとの2日間だ。  …

親友に贈るベイベー、ダーリン

 小説「スロウハイツの神様」(辻村深月著、講談社)にこんな一節がある。  現在は親友であ…

私は濡れたサドルでいいから

 ※2020年7月31日に公開した「女性コンビニ店員(24) 幼なじみを見た日」の続編に…

ねりま駅前環便利軒(字余り)

 2020年12月末、新宿三丁目にある24時間営業の中華料理店。 東京に帰ってきて1ヶ月弱、親友である行天(ぎょうてん)にようやく会うことができた。なんとなくの流れでいつもの中華料理店に行き着いた私たちは、青島ビールを流し込み仕事の話にうつった。  「俺さ、報・連・相(ほうれんそう)はしないって同僚たちに言っているんだよね」行天は淀みなく言う。  理由は明白だという。行天は仕事が楽しく、一つのことに熱中すると、他の人と一緒にやるという概念がなくなる。全てのことを自分一人で

悪意や質の悪い好奇心

 「エスカレーターを歩くのは危険です。手すりをしっかりと掴んでください」  駅で流れる注…

女性コンビニ店員(24) 幼なじみを見た日

 緑の看板に、白と水色の線が引いてある。24時間営業のその店は、私、元田(もとだ)あやかの…