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Old Soldier の複業探訪(5)

「経歴書を読みましたけどねぇ…」
残り5分となったところで、相手の男性があからさまに苦笑しながら本題に入る。
「この人になにができるのかなぁ、って考えてみたんですけど」
「ひとつだけ分かったのは、ソフトウェア品質保証」
「それに、価値創造ってなんですか?」
何ができるのかが伝わりにくい事は、意識して経歴を抽象的に書いたので、ある程度は予想していた事だ。やっぱりな、という思いで続きを聞く。

「マネジメントの依頼なんて、ないんですよ」
「現場に張り付いて一緒に手を動かします、みたいな事でないと仕事は来ないですよ」
「上から目線でただ見てるだけなんて、ないですよ」
「そうでしょ?」
そうなのかぁ…。と云われても、今更プログラミングに戻るのも現実的じゃないしなぁ…、と思っていたところに最後通牒が来た。

「私たちはねぇ」
「経歴と依頼をキーワードでマッチングしてるんですよ」
「この経歴書では、キーワードの抜き出しすらできないですよ」

ここに至って私は、自分が大きな思い違いをしていた事に今更気付いたのであった。つまり、複業のマッチングサービスと云うのは転職のエージェントとは違うのだ。それぞれの利ザヤを考えてみれば、複業のマッチングに転職エージェント同様に手をかけていられないのは当たり前である。
守秘義務もあって、経歴書は抽象的であっても面談でアピールすれば良いだろうと考え、専門とする分野に対する自分の考えをまとめた「論文」すら準備していた自分のアホさ加減を自嘲しながら、面談は終わった。

しかし、自分でも不思議なほど、恥じ入っても落ち込んでもいなかった。むしろ、早く始めておいて良かったと云う思いが心に満ちていた、と云っていいだろう。

そう、最も優れたリスクマネジメントは早く始める事、である。 (続きは次回に)

ここまでお読み頂いて、ありがとうございました。
このとおり、老兵の複業探訪を不定期で、時折、世相に対する世迷い事を織り交ぜながら発信して参ります。

どうぞ、よろしくお願い致します。


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