VTuberファンとして7年 古代と黎明期を振り返る

バーチャルYouTuberのコミュニティの拡大は今でも広がりを続け、次々と新たなファンがこの界隈を訪れ、様々なコンテンツを供給しています。

私は、ウェザーロイドが登場したときから数え、7年。
そのころからキャラクターとリアリティーの関わり方、あり方を観測し続けました。今回はその7年の間とその前から観測してきた様子を振り返ろうと思います。

ちゆ12歳とバーチャルネットアイドル

ちゆ12歳は後に実際にバーチャルYouTuberとして活動をはじめますが、元は2001年2月14日に解説された個人用のウェブサイトでした。
この頃のインターネットはYouTubeやニコニコ動画といった動画サイトはなく、2ちゃんねるを筆頭とする掲示板サイトと個人のウェブサイトがメインコンテンツでした。

その中でもちゆ12歳は、サイト管理者がそのキャラクター本人であることを謡ったサイトジャンル「バーチャルネットアイドル」の元祖として名を馳せ、同じ個人系ウェブサイトの中でも有名だった侍魂に次ぐアクセスランキングを一時獲得していました。一時は『ねとらん者 THE MOVIE』というOVAにも出演。怪盗キッド役などで知られる山口勝平さん、『おジャ魔女どれみ』の瀬川おんぷ役で知られる宍戸留美さんなどと共演しました。

ちゆ12歳のウェブサイトには、様々なネットカルチャーやサブカルチャー、宗教、政治、占いなど多岐にわたるジャンルについて解説や感想を書いており、現在もnoteで執筆をつづけています。

この日本のインターネットコミュニティの黎明期には既に「バーチャル」と「ネット」を掛け合わせた文化が存在していました。

DJラオウとFlashコンテンツ

2005年5月2日。「遊ぼう! ぱちすろっと!」というサイトに「DJラオウ ニコニコラジオ」というFlash動画がアップロードされます。

この動画はトロ氏が制作したFlash作品で、「北斗の拳」に登場するラオウというキャラクターがDJとなり、お悩み相談にこたえるというラジオ風Flash MADでした。

このDJラオウは、現在VTuberの元祖とも呼ばれている存在となっています。
というのも、この動画では「キャラクターがしゃべる」「しゃべった言葉に合わせて口が動く」といった現在のVTuberに似通ったコンテンツになっており、これをFlashで成立させたのは偉業ともいえます。

また、リスナーとの双方向を当時から確率しており、ニコ生を始めた(この時はラオウの映像はない)流れも見れば本当に元祖といっても過言ではないでしょう。活動の中で、BBステーションというパチンコ屋の企業案件も獲得しており、インターネット広告ビジネスがあまり確立されていない当時でこのような案件を獲得しているのも異例も異例でしょう。

(※注: 複数人が真似て活動しているため、案件をとったのは恐らくオリジナルを作ったトロさんではない)

そんなFlashの文化は少なくともニコニコ動画などの日本のインターネット文化に大きく影響を与え、インターネットで動画を見ることを大きく浸透させるきっかけになっていき、今のバーチャルYouTuberの文脈にもつながっているものと思っています。

このDJラオウ以降、SecondLifeやフルスクラッチツールで3DのVTuberのような活動を行う者が幾度も現れては消えていきました。gdgd妖精sといったものもありましたが、現在のVTuberの

 Ami Yamatoと「YouTuber」

2011年6月13日、海外でAmi Yamatoが登場。現実の背景に人間に近しいCGが登場し、ビデオブログを残すコンテンツが人気になりました。
活動の中でBBCや大手ニュースサイトで取り上げられ、一部メディアでは「Virtual YouTuber」といううたい文句で記事が投稿されました。

当時の日本は、ちょうどYouTuber旋風が起こり始めた頃。
HIKAKINなどが出たことで、精力的にYouTubeで活動しようとする若者が現れ始めていました。その中で既にこのような存在がデビューしていたことは感慨深いと思います。

ウェザーロイドAiriの登場

正確に私がバーチャルの存在に注目を始めたのは、2013年2月4日。

それがウェザーロイドAiriでした。彼女は気象予報サービスを提供する企業であるウェザーニュースが提供するライブ配信番組、SOLiVE24に登場したバーチャルな体を持つAIキャスター。

現在では充電が切れた音声合成モードと生声の充電完了したモードがあり、2014年4月10日には冠コーナーを持つようになりました。
当時から技術的な障害が多発していることから、ニコ生では「ポン子」と呼び、SOLiVE24のチャット(コメント欄)では「Airi」と呼ばれているのが慣習でしたが、今ではポン子の方が一般的に浸透しているようです。

私は彼女の失敗を勢いで押し切ろうとする様子が面白いと思ったことから、今まで観測を続けてきました。彼女がバーチャルYouTuberとして扱われ始めたのは、2018年の元日頃。当時メインストリームではありませんでしたが、ウェザーニュースはYouTubeでも常時配信を行っており、この様子をバーチャルYouTuberファンが見つけ、流行に合流しました。

バーチャル生主の登場

2012年4月21日に登場した雪猫カゥルさんは、Unityワールドの中で配信を行う「バーチャル生主」だ。
体は3D、声は合成音声という組み合わせで、ニコニコ生放送で現在も活動しています。

私は彼を始めて見た時はナマケットというニコニコ生放送の公式企画だったと思います。あの企画が行われた際に雪猫カゥルさんも出演しており、その後同様の公式企画に常連組となり、毎回イベントに出演するたびに注目を浴びていました。

また、後にこのバーチャル生主というジャンルには、のらきゃっと、みゅみゅ教授なども現れることになります。
このジャンルからは多くの技術者が生まれました。

アニメ娘エイレーンの誕生

アニメ娘エイレーンが2014年3月1日に誕生したことは私も史実?として知っていますが、このエイレーンについて私は四天王ブームになって以降に存在を知ったことから、まったく詳しくありません。なぜなら、この四天王ブームが起こっている時点で、YouTubeにあった動画はすべて消されており、その姿はミライアカリのチャンネル内でしか確認が出来なかったためです。

後にミライアカリを作った人物であることから考えれば、このエイレーンの誕生も後に大きなトリガーだったのだと思います。しかし、四天王がミライアカリではなく、エイレーンになっていた可能性もあったのではないでしょうか?

facerigブームの到来

facerigは、現在でもVTuberの配信に使われるツールですが、このツールを使ってゲーム実況や配信を行うことが一時ブームがあり、特に2015年11月頃~2016年2月頃に様々な動画が作られました。​

結月ゆかりになるツールの

犬がスプラトゥーンを実況する動画

このブームが後にVTuberのツールとして確立するきっかけとなったことでしょう。

また、すあだ作品であるバーチャルおばあちゃんはこのfacerigのデフォルトアバターを使用し、作品が制作されています。

そして、キズナアイが目覚める

この後のことは皆さんご存知の方が多いと思います。
急遽YouTubeチャンネルの凍結でバーチャルニートを経験したり、ニコニコでファッキューがバズったり、様々なことが起き、今のバーチャルYouTuberブームがあります。

振り返れば振り返るほど、自分の知らない情報が出てくるこのバーチャル古代や黎明期。みなさんも一緒に振り返り、歴史の探究者になってみませんか?

バーチャルYouTuber関連年表(-2018年) - ニコニコ大百科
現在内容追記を行う活動をしています。是非情報などを掲示板にいただければ幸いです。

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