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DANIEL ARSHAM PARIS,3020 Perrotin Paris


1000年後の未来、想像できる?

パリなら、できるかもしれない。
街中にひしめく、石造りの建物はきっと、崩れ落ちない限り、そのままその場所に佇んでいるだろう。その歴史の破片がこぼれ落ちそうになったら、人々はきっと うつくしく手を添えて、ほどよくほころびを整えるだろう。
この、"ほどよく"というのがきっとパリのポイントだ。
今までも、これから先も


DANIEL ARSHAM
1980年、アメリカ オハイオ州生まれ。
ニューヨークを拠点に活動しているという。
彼の世界観の重要なキーワードは
"フィクションとしての考古学"(Fictional Archeology)。

彼がみせる、どこかで見覚えのある、象徴的な彫像たちの過去と未来のあわさった姿は、想像力をかきたてる
破壊と創造、過去と現在と未来、美の定義、時...

日本には10年近く前に初めて訪れた。その時、日本庭園を知って作品にしたいと思い立った。日本庭園は毎日手入れされているが、それはその日の一時的なものだと思われる。しかし、毎日行われているということは、半永久的とも捉えることができる。私の作品の“崩れそうで崩れない、壊れそうで壊れない”といった要素にこれがピッタリだった。庭園にオブジェクトを書き足した絵画では、古代の中の未来を表現している。
(wwd japan 2018/5/23)

2018年、日本庭園をモチーフにした作品について、彼はこう語っていた。
半永久的、崩れそうで崩れない、壊れそうで壊れない、そのときだけの姿。

なんてもろいんだろう。でも"時"ってそういうものだ。
それはきっと物質的なことだけじゃなくて。
指と指の間をすり抜ける、かわいた細かい砂の粒のような、
砂時計か。砂漠か。

彼の作品からは時の流れを、動きを感じる。
動いているわけじゃないのに。

色はほとんどない。無機質とも言える。
でも、その空気は静というより絶対的な動。

魔法でもなければ、永久にそのままのきれいな形を保つものなんて、きっとこの世のどこにも存在しない。
じゃあ 時がきたらいつか、そのほころびをどうつくろっていくのか。
そっくり元通りにするのか、新しい姿に変化させるのか。


古代の中の未来、今私たちが生活しているこの街も、そんなものかもしれないとふと思った。

連続しているけれど、同じものではなく、
そしてそれは独立していながら、何か大きなものに内包されている

座右の銘は?
「It's not going to make itself.(勝手に作られるものはない)」
(FASHIONSNAP.COM 2018/5/26)

https://www.perrotin.com/exhibitions/daniel_arsham-paris-3020/7077

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