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たった1ヶ月のアルバイトで働くのが怖くなった頃の話。

最近、やじりまおんさんという舞台女優をされているYouTuberさんの動画をたくさん見ている。飲食店をバリバリ経験していて、経験談を再現した動画が視聴者の共感を強く掴んでいる。やじりさんの壮絶な経験には程遠いが、私は初めてのアルバイトによって働く意欲を喪失してしまい、高校〜大学在学中これから社会に出て働くことが怖くて堪らなかった。

17歳の時、高校卒業を間近に控えて初めてアルバイトを経験した。元々アルバイトを勧める家庭ではなかったが受験も終えて暇だった為、部活の友達がやっているカフェチェーン店のバイトを紹介してもらった。自分で欲しいものが買えるお金を作りたい、それだけだった。

当時25歳の男性店長は他店と掛け持ちで不在が多く、紹介先は外国出身の主婦の副店長と長く働いている40代主婦パートさんが中心で、夜に大学生バイトが入れ替わって回している店だった。

バイト初日が厄日だった。客がいつもの倍来る日だったらしい。勤務は4-5時間程度だったが家に帰っても殺伐としたキッチンでお皿とコップがカチャカチャいう音が離れず、気が重たくなった。

その後人手が少ないという平日早朝に入ることになったが、その時間は主婦パートのテリトリー。迷惑扱いでしかなかった。

教えてもらったことが無いことをやれと言われ、遅い、違う、もういい、と怒られる。副店長とパートの指示が違う。何よりパートさんが怖くて仕方がなかった。「○○さんからこうするように言われたんですが」と言うと「違うから!」とピシャリ。たまに入る大学生の先輩(男)がコップ1つ取ってくれただけで「甘えないで!」と激怒。パートさんは店長を「ーくん」呼びしていたし、店長はパートさんに嫌な顔が出来なかったようだった。パートさんがいなくて店長と一緒の時は、お客さんの前でも、ヤクザみたいに怒鳴られて怖かった。副店長は穏やかな人だったが、やたらと人に太ったとかどうとか言う人で印象が悪かった。

大学生の先輩方からは「怖いよね。でも一緒に頑張ろうね!」そう言ってくれたから何とか追いつこうとしても、早朝と夜では環境が違いすぎた。1度夕方に入った時、先輩に「偉い偉い」と褒めらてただけで生きた気がしたし楽しかった。それが早朝に行くと勤務中の私を含めたアルバイトの陰口ばかり。私は陰口から聞こえる「使えないヤツ達」の一人だった。勤務中は緊張しているのに自分でもうんざりするくらいミスはどんどん増え、自分がどんどん馬鹿になっていくのを感じた。

憧れの初めてのアルバイトを1ヶ月が過ぎたところで辞めた。

サンドイッチを作ったり、コーヒーをいい感じに注ぐのも好きだった。仕事自体は面白くてもっとやってみたかった。お客さんがありがとう、って言ってコーヒーのお代をくれる嬉しさも初めてそこで知った。でも、社会ってこういう所なんだ。こんな人達ばっかりの中で働かなきゃいけないの嫌だな、そう思ってしまった。

アルバイトをして社会に貢献している同年代がとにかく素晴らしくて、自分はダメな意気地無し、社会はこういう怖いところばかりだ。そういう劣等感と恐怖心が就活でも就職後でも影響して、遂には急性胃腸炎に繋がっていたんだと、今になって思う。

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