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家族と自然『回転木馬』(若松昭子氏)を読む。
この歌集は親しみやすい。
家族のこと、自然、旅先の景色、日常などが、文語で詠まれている。
色々な題材の短歌がある中で
特に注目したのは
・家族の短歌
と
・自然の短歌
である。
家族の短歌で印象深かったもの。
通りがかりに夫も息子も混ぜて行くストーブの上にカレー乗せれば
日常の一コマから、その家族の雰囲気や旦那様と息子さんの性格が伝わってくる。
ストーブの上に載せたカレー鍋は家族の絆でさらに美味しくなっているだろう。
思ひがけぬ強きちからに握りくるみどりごの掌に小さき宇宙
「ちから」のひらがな表記が、みどりごの力らしさを出していると思った。
小さき宇宙という比喩も良い。
みどりごの未来という無限の広がりが宇宙につながるような気がする。
自然の短歌で印象深かったもの。
一日耐へたる褒美といはむ窓枠を額縁となし夕焼けは燃ゆ
※一日にひとひとルビあり。
疲れた日や、何かをやり遂げた日に見る夕焼けは気持ちもこもってさらに美しく見える気がする。
額縁という比喩で夕焼けが燃える絵画のようだ。
終章は美しくあれとめどなく針のごとき葉降らす大木
針葉樹だと分かる。
「終章」という初句の言葉の選択が歌全体の雰囲気を美しくしている。
幾重にも重なる雲を光らせて何に怒れる夜の雷
※雷にいかづちとルビあり。
「幾重」と「重なる」を両方重ねることで雲の量と厚みを感じさせる。
雷が何に怒っているか明記されていないことで、読者が自由に想像出来る。
まとめ
文語で上品さや重厚感がありつつも、短歌の題材が身近で面白かった。
内容を楽しむだけではなく、表現の勉強になった。
歌集の情報
『回転木馬』
若松昭子 著
シリーズ名 波濤双書
発行所 風木舎
Amazonなどネット販売なし。
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最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!