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短歌集『閑日月』を読む。−重厚感とユーモア−

樋口忠夫氏の歌集『閑日月』。

短歌歴の長さや人生経験により内容に
重厚感がある歌集だと思う。

五首選で紹介。


デジタルの新たな名義パスワードたがへば門前払ひをくらふ

34ページ

携帯電話やパソコンなどのパスワードを間違えて、ログイン出来ないことがある。

それを「門前払い」としたおかしさに惹かれた一首。

自由の身に遂げたきことの多くして時のかぎるに思ひは至る

126ページ

やりたい事は多くても時間に限りがある。

文語で詠むと、日常のふとした考えも重みのある一首になる。

ルックスも血すぢも犬は吾にまさりこのごろ妻と会話もできる

129ページ

犬と作者自身を比べるクールなユーモアがある。

この犬は、血すぢとあるから、ロボットの犬ではなく、血統書付きの生きているの犬だろう。
※この歌の前にコーギー犬の短歌がある。

お利口な犬だということが
「妻と会話もできる」
で伝わってくる。
比喩だとは思うが。

孤独なるや魂の駆け込み寺のごとあまたの人人スマホ手にする

133ページ

この文章もスマホ画面をポチポチ叩いて書いているので、ドキッとした。

用がなくてもスマホを見てしまう行動の裏に、こういった心理があるかもしれない。

「駆け込み寺」に切迫感がある。

明日知らぬ生にしあれば「またあした」などとは言はでけふを生くべし

180ページ

「またあした」の一言に重みを感じる。
そして、今日の大切さも思い出させる。



【まとめ】

言葉遣いや短歌の内容が重厚で、
気軽に紹介文を書いて良いものか実は悩んだ。

そんな歌群の中から紹介しやすいものを選んで紹介した。

もっと深く味わいたい方は是非本をご覧ください。



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閑日月 https://amzn.asia/d/3B4KA5g

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