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「現代俳句」2023年7月号を読む。

「現代俳句」を読む時に、感銘句に印をつけている。
そのうち、特に面白かった感銘句を勉強のために紹介したい。

※()内はページ数。

【百景共吟】(2,3)



浜口のレモンが昇る夏あした 大類つとむ

夏館魔王のごとく住み慣れる 小野裕三

【シリーズ薄墨桜】(4)



一族にはぐれてしまひ螢の夜 木村ゆきこ

【列島春秋】(6~8)



炎天に人すこしづつ醱酵す 荒川弘子

梅雨の傘ぱっと俳句は骨である 田沼美智子

影ひとつ掬うておまけ金魚売 鈴鹿呂仁

毛虫焼く日毎仏を拝む手で 藤井康文

脳なくて心臓なくて水母浮く 川崎美知子

朝顔やうしろの海の碧すぎる 津田番茶

【地区協会報を読む】(11)



茶柱が震えて立っている厄日 三浦静佳

【作品10句】(12~14)

オヤジと俺 違う枯野を歩いてきた 井上俊一

春愁を一晩ねかせ常備菜 永井淑子

牛たべてなまこを食べて人の顔 馬場佳世

風鈴の音も引越していきにけり
雪摘むや郵便受けは夢受け箱 廣畑昌子

【翌檜篇】(40,41)



夏はそれ自体ぐにぐにと伸びて 工藤吹

赤血球くんずほぐれつ蚊に吸われ
ぬいぐるみ床に落として熱帯夜 杢いう子

【第15回現代俳句の風】(50~57)



大夕焼だいだらぼつちと化すポプラ 齋藤雅美

強情や鹿一頭が野に残る 十河宣洋

夜光虫海を出られぬもの美し 菊池修市

これほどの大夕焼にひとりかな 日下節子

クッションの凹みのような帰省の子 佐藤詠子

海水浴内臓脂肪溶けるまで 鈴木満喜子

闘魚飼ふ夫のこころの裡読めず 藤原はる美

余生まだ余白にあらず薔薇大輪 浅野とし子

プチ家出画策している麦藁帽 飯塚幸子

筍の意志のかたさに慌てけり 石原玲子

空蟬に敵味方なき朝かな 伊藤方惠

おほかたは叩いて買はぬ大西瓜 河野眞砂子

泣きながら手にはしっかり棒アイス 佐藤愛子

ひたと止むダムの放水二重虹 大橋廸代

マネキンが積まれて行きし広島忌 加藤遊名

蟻の道話しする蟻しない蟻 西久保弘道

振り向けば海振り向けば遠花火 三軒鼻恭

油蟬鳴き止んで空軽くなる 橘美泉

花火果て人の匂いの濃くありぬ 藤井八重子

妻を呼び妻は子を呼び虹を見る 稲井夏炉

海見ゆる窓に住みたし夕焼雲 野本京

海の日や嚙みつきさうな魚拓の歯 渡嘉敷皓駄

しがらみもぐいと一突き心太 中村重幸

【図書館俳句ポスト】(61,62)



春耕や小石にあたる鍬のこゑ 浅田英夫

かけ声を掛けねば立てず春炬燵 古川よしみ

堅物の取説身欠き鰊炊く 佐藤君子

花種をふつて明日を攫みとる 大森薫

初蝶やメトロのとまる地上駅 竹内白熊

春夕焼エンドロールはひとりきり 砂狐

回覧板少し濡らして花の雨 長沢おさむ

ポケットのマーブルチョコと青き踏む 山中節子

あたたかや図説あまたの引継書 長山椿

葉桜となりて目立たぬ木となりぬ 倉谷節子

子供等の数だけ水筒春の昼 菊池由利

ポップコーン散らばるごとく白詰草 上戸真弓

【新入会員記念作品】(64)



日本で生まれし象よ降る桜 古関治恵

理科室に入り浸る子の卒業す 檜野美果子

冬の月弱音吐いてもいいですか 安田寛子

【まとめ】



生活のちょっとした場面に季語が上手く取り合わせされている句、
喩が面白い句、発見を一句にした句など、様々。
それぞれの作風が勉強になった。

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