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プリンセスは選べるシステム?

私には、若くで結婚し実家から車で4時間の場所で暮らしている妹がいる。

ありがたいことに女の子を3人も産んで、私は何もしていないのに3姉妹の伯母さんにしてもらえた。

これはまだ、姪っ子長女が幼稚園の時のお話。

年に数回、妹の家に遊びに行くと、姪っ子はみるみる大きくなっていく。

「おばちゃん、プリンセスごっこしよ」

(本当はお姉ちゃんと呼ばれているが、ここではわかりやすくこう書いておく)

そう誘われたとき『お姫様ごっこ』はいつの間に『プリンセスごっこ』と英語で言われるようになったのか、姪っ子は英語を話せるのかと軽く衝撃を受けたが、

ディズニーのお姫様ばかりを集めた『ディズニープリンセス』というユニットが存在し、姪っ子長女はそのディズニープリンセスが大好きだと知った。

「どのプリンセスがいい?」

もちろん参加前提で私にプリンセスを選ばせてくれようとするのだけど、ディズニープリンセスに誰がいるのかもあまりよくわからない、

おまけに私たち姉妹は、子どもの頃にそんな女の子らしい遊びをあまりしなかった。

「あぁ~アラジンのジャスミンがいいかな…?」

おそらくアラジンはディズニーで、確かジャスミンはお姫様だったはずと思い、クエストすると…

「それは私がやってるから……」

(まさかのキャラ被りか!)

どうやらジャスミンは姪っ子長女のお気に入りらしい。

妹の家で飼っているトイプードルの『シェリー』がなぜか突然『ラジャー』と呼び名を変えられているではないか

(なぜ?)

すると妹が、ジャスミンが飼っているトラの名前がラジャーなんだと教えてくれた。

完全になりきっている上に、飼い犬までもが参加させられている。

そんな姪っ子長女をだた見守り続けるしかない伯母…

「ママ〜プリンセスごっこしよ〜」

どうやら、おばちゃんはいい遊び相手にはならないと悟ったようで

夕方のバタバタした時間に突然プリンセスになるよう要求された妹。

「え〜っと…ママは…シンデレラするわ〜あ〜忙しい忙しい、晩御飯の用意します〜」

(どういうこと??)

私は一瞬よくわからなかったが、どうやら継母にコキ使われているシンデレラの設定のようだ。

「ママ〜プリンセスごっこしよ〜」

夜ごはんを食べて、風呂に入って後

隙あらばプリンセスになりたがる姪っ子長女。

突然スイッチが入るようだ。

「お布団へ行ってからね!」

そう妹がいうと、みんなで寝室へと向かった。

「白雪姫になったら? ママはオーロラ姫にしようかな」

「うん、じゃ、そうする! 私は白雪姫!」

そういうと、突然静かになった。

妹も姪っ子長女も目をつむって本当に眠り始めたのだ。

(ん?プリンセスごっこは終わってしまったの?)

数秒後……私はハッと気が付いた。

オーロラ姫は……眠れる森の美女。

作品の中でほとんど眠っているお姫様。

そして、白雪姫って……

毒リンゴ食べて、途中からずっと眠っているお姫様だ。

そういうことか!と気が付いたら、クスクスと笑えてきた。

メルヘンのかけらもない、ちょっと雑なプリンセスごっこだけど、

日常の中で工夫しながら、メルヘンな娘に寄り添っている妹を心から尊敬した。

プリンセスごっこを求める姪っ子にもだんだん慣れてきた私は

ほとんどないに等しい記憶をたどって、

人魚姫の『アリエル』の映画でフォークで髪の毛をとくシーンをがあったことを思い出し

ついに動いた。

キッチンからフォークを持ってきて、自分の髪の毛といて見せたのだ。

それは姪っ子長女のツボをガッチリおさえたようだった。

それからというもの、私の顔を見るとキッチンからフォークを持ってくるようになった。

そのフォークを渡されたとき、私のプリンセススイッチはオンになり、永遠にフォークで髪をとき続けるのだ。

アリエルで姪っ子長女の心を掴んでホッとしたが

私にはもうアリエル以外はやらせてもらえなくなった。

もうプリンセスは選べないシステムに変わってしまっていた。

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