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コーヒーで脱水症になるは本当か?夏場のコーヒーとの付き合い方。

今年もアイスコーヒーが美味しい季節になりましたね。暑い夏に気をつけなければならないのが脱水症です。今日は、脱水症を防ぐためのコーヒーとの付き合い方について考察したいと思います。

コーヒーの中に含まれるカフェインには利尿作用により、体から水分が失われて脱水症を起こすおそれがあると聞いたことはありませんか?

私も以前は水分補給にコーヒーは適さないと思っていました。しかし、2014年に発表されたのイギリスのバーミンガム大学の研究によって認識を改めることになりました。この研究によると、習慣的にカフェインを摂取する男性がコーヒーを適度に摂取した場合、1日の水分の必要量に貢献し、体液のバランスに有害な影響を及ぼさないことを示唆している。と結論づけられています。

わかりやすく言い換えると、「毎日コーヒーを飲む男性の場合、適度な量であればコーヒーを飲むことで脱水症を起こす恐れはないだろう。」ということです。

ここで、なぜ男性だけ?という疑問が湧くかと思います。実はこの研究では意図的に女性を研究対象にしていません。理由として、女性は月経周期によって体液バランスが崩れる可能性があるためと記載があります。

この研究の概要について説明します。習慣的にコーヒーを飲む男性50名を対象とし、カフェインの摂取量が1日あたり4mg/kgとなるように調整したコーヒーを1日800mL(200mL×4杯)のむグループ(C)と、水を800mL(200mL×4杯)のむグループ(W)にランダムに振り分けて試験を行いました。これ以外の食事や水分は、参加者の食事記録を元に栄養分析され、カロリーや水分量を管理されています。3日間の試験期間をそれぞれ2回設けて、コーヒーまたは水を飲む試験を交互に行なっています。実験参加者の習慣的なカフェイン摂取量は1日300〜600mgと推定されています。試験の結果、グループCとWを比較したととろ、全身の水分量、24時間の尿量、血液学的マーカーには有意に差はありませんでした。グループCではWに比べて尿中のNa、Kが多かったのと、体重が0.2%減少していました。

以上がこの研究の概要です。

ここからは私の意見ですが、尿量だけでなく、血液や尿中のマーカー(NaやKなど)を測定し、様々な角度から体液の変化を評価しており、厳密に試験をされているなという印象を持ちました。コーヒーを飲んだグループで体重減少が0.2%ありましたが、軽度の脱水症では体重は1〜3%減少すると言われています。なので、ほとんど問題にならない程度の体重減少だと考えられます。コーヒーによる利尿作用により脱水症状は起きない、むしろ水分補給にも役立っていると結論づけていいように思います。

ここで注意点ですが、この実験はあくまでも習慣的にコーヒーを飲んでいる男性が対象です。全員に当てはまるものではありません。実は、カフェインを習慣的に摂取しているとカフェインに耐性ができ、利尿作用が働きにくくなると考えられています。また、4日間カフェインを断つとこの耐性はなくなると言われています。

カフェインには利尿作用があるため、脱水症状を起こすおそれがあるという意見の背景には、カフェインを普段摂取しない人にカフェインを投与した場合に、尿量の増加が見られたという複数の研究があります。

これらの知見を元に、私なりに夏場のコーヒーとの付き合い方を考えてみました。

・毎日コーヒーを飲んでいるなら、コーヒーによる脱水症状を気にしなくていい。むしろ水分補給としてコーヒーを飲んでもいい。4日以上コーヒーを飲んでいないなら、コーヒーだけでなく、水分もしっかり取る。

以上、このような結論となりました。あくまでも普段の水分補給として考えてください。既に脱水症状(気分が悪い、めまいやふらつきがある、頭痛がするなど)が起きている場合はコーヒーは適しません。水分の吸収の早いOS-1(大塚製薬)やアクアソリタ(味の素)などの経口補水液で水分摂取を行いましょう。

参考文献

Killer SC, Blannin AK, Jeukendrup AE (2014) No Evidence of Dehydration with Moderate Daily Coffee Intake: A Counterbalanced Cross-Over Study in a Free-Living Population. PLoS ONE 9(1): e84154. doi:10.1371/journal.pone.0084154

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