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ベートーベンとお金 その1

ベートベンは常にお金に困っていたという多くの証言が残っている
確かに、苦悩に満ちた人生であり、金持ちで悠々自適に暮らしてたイメージはない
これに対して、最近の研究では当時としては収入が多かったことがわかっている

実際のベートベンは、それなりに収入があったが、莫大な借金もありお金には常に困ってたいというのが真実のようである

人のお懐事情などどうでも良いことではあるが、やみくもに貧乏だとか金持ちだとかということだけを見るとベートーベンという人の本当の姿が見えてこない
そこで、人の懐を探るのは褒められたことではないが、一旦整理してみることにした

結果として、ベートーベンという音楽家の実像があらわになる

収入の軸としては、貴族から支払われる年金となっている
40歳ころから亡くなるまでの年収はおよそ1400フローリンだったらしい
あとは不定期に入る作曲料
細かい作品ごとの料金は省くが、作品や委嘱先によって金額は大きく異なる


当時のその他の職業の平均年収は

役人、宮廷音楽家、大学教授で1000フローリン
軍人だと元帥クラスで1500フローリン、歩兵だと30フローリン
中学教師が700フローリン、工場の労働者が300フローリン

であったらしい
こうしてみると、フリーの作曲家としては高収入であったことは確かである


ここまでは収入についてであるが、支出についても見てみたい

当時のウィーンでアパートを借りると年間50〜90フローリンかかったらしい
しかし、ベートーベンの部屋は400フローリン以上もしたらしい

しかも、3〜4の部屋を同時に借り、引越しも生涯で何十回(60とも90とも言われている)もしていた

単純に、400フローリンの部屋を3
つ借りれば1200フローリンになり、この時点で相当に収入を圧迫している

電気が通っていない当時、部屋の灯や暖房はロウソクや薪が使われ、これもかなりお金がかかったらしい
ある冬は薪代が100フローリンもかかったとこぼしている

さらに召使いもかかえており、複数人の時もあった
召使いの給与については詳しいことはわからない

ウィーンは食事代は安かったらしく、ベートーベンがよく通った屋台では1回24クロイツァーで食事をしたらしい
(1フローリン=60クロイツァー)
1日1フローリンかかったとして、年間365フローリンとなる
普段のベートーベンは粗食で、食事はそんなにお金をかけていなかったようである

耳が聞こえなくなった後、自分に音が聞こえやすくするための集音部屋や改造がほどこされたピアノなどを部屋においており、これらは特注したと考えるのが自然でだろう
そうなると相当にお金がかかったに違いない
それについては、記された資料にまだ出会っていないので細かいことは不明

ざっとこれらを見ただけでも、年収以上の支出があることがわかる
どう考えても貧乏である

その他、ベートーベンは相当の読書家だったので本代はある程度かかったかもしれない
晩年は、甥のカールの親権を巡る裁判と養育費に相当お金がかかったらしい

以上、ベートーベンの懐具合をわかっている範囲で簡単に整理するとこうなる
高収入だったにもかかわらず、常にお金に困っていたのはこういう理由も十分に理解できる

さて、前置きが相当にながくなったが、僕が着目しているのはここからである

が、長くなったので次に書きたいと思う

今日はこの辺で

ちなみに、お金の単位は当時のもの
現在の日本円に換算すると1フローリン、5000円とも3000円とも言われているが、正確な数字はわからない
しかし、現在のお金に換算することに意味はなく目的としていないので、収支のバランスがわかるだろうということでフローリンのままにした

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