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言葉、短歌、詩

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#詩

四月抄

四月抄

そしてまた雨ははじまり。きらきらと真昼の音楽を奏でつづけ。  
世界を遠のかせるみどりの木漏れ日のなか生きていてねえほら。きらきらとみずみずしく樹々は生まれたてのその葉をつややかに透明にまばゆかせて。
**だいすきなあなた。こんなにも愛してたのわたし。透明に透きとおるからだつややかにしんとして。ほんとうにほんとうに愛してたの。生まれたてのただひとり。あなた。

みずいろ みずのよ みずの緒(お)

みずいろ みずのよ みずの緒(お)

答えはすべてみずからの内にあるって、言葉もそうなのかもしれない。
いまほんとうに自分に必要な言葉やその言葉から発せられる周波数、心地よさ気持ちよさ。ぜんぶ身体が知っている。身体の感応で知覚できる。

「みずのよ」と題したこの言葉の群れ。
身体を徹底的にリラックスさせて頭もからっぽにして降りてきた言葉やイメージを、まったくちからを込めず、スッスッと心地よく感応するまま配した、めちゃめちゃ私的な祝詞(

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夜の岸辺、きれいね

夜の岸辺、きれいね

こうしてこの場所で静かに愛し続けていることの稀有さを、彼方から遥けくかがなべて、私という時間のゆきわたる身体の速度まで落としこむ。この夜の岸辺に。そっと手をのばして。
昏き流れにほろほろ溶けていく金色のひかり。きれいね。

わたしたちは幾何学の水盤に巫祝する。

わたしたちは幾何学の水盤に巫祝する。



言葉を繰(く)ることを選び、この地上に播種されたわたしたちの。金色(こんじき)のかけらを幾千も幾千も。ひかりの素肌に変えて。目覚める。素足からそっと。限りなくやわらかくやわらかく脈動してまばゆく螺旋状にそのかたちをかたどりゆくわたしたちの命脈の。この地上に熱をおびてとけあう命脈の。‬

楽園?
そうねきっと。
楽園。わたしたちの最後のひとしずく。
ずっとずっと大切に憶えてたの。



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夜と夜を継いでふんだんにはぐくまれた。手足と、身体と、闇の中に抛げだされて。放擲されて。あたたかくやわらかく搔きいだいて…うつしとる声。‬
ほら。こんなにもこんなにもいのちはみちみちてうるうるとくしけずられそよぎゆく無数の草木の生き死にの中。

綺麗ね。いまここのくらやみに生まれいずる。ひかり。

みずのよ

した。した。した。…
したたり落ちるからだみずのよ、
水の夜。久遠に。永遠に。透明に。みずのよ。…

ことほぎ、ことほぐ。汝(な)が声にみかづきて。
寄せきたる汐音(しおね)。みかづきたる火のままに。
流るる。生まれいずる。碧き炎(ほむら)の青。汝が声に帰せるみずのへにありて。…
「吾(あ)が鳥は来たれり」みずのよ。

汝が名に及(シ)く沈透(シヅ)きたる。
吾が内海(うみ)に沈透けるままに。

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