音楽:「YUKI」の何がスゴいのか?~女性日本ポップ界のカリスマ(特異性・汎用性)を有する唯一無二のアーティスト

お馴染み、あるアーティストの「何がスゴいのか?」を考えるシリーズです。

今回はバンド「JUDY AND MARY」の元ボーカルで、バンド解散後はソロの「YUKI」名義で日本音楽界を牽引し続けているYUKIさんについて考えてみます。

後の文章がとても長くなる気がするので、先にYUKIさん自身のマイルストーンにして後の音楽性を決定づけた一曲をご紹介します。

●YUKI - JOY:

YUKIさんの何がスゴいのか?という点は明確で、一般的にも言われているしWikiにも書いてあったのですが、

『J-POPという分野において、女性ボーカルによるバンド表現の進化発展に大きく寄与してきた。日本人女性の間では、「カリスマ」的な存在として認知されている。』

という説明でこと足りるのですが、もうちょっと深堀りしてみて、なぜ「カリスマ」と称されるのかを考えてみます。

まず、「カリスマ」の定義ですが、ChatGTPに聞いたところ、要するに
「個性やリーダーシップ能力で他者を惹きつける力を持つモノ」
と回答してきました。
しかし、私には上記とはちょっと相反するようですが次の点も「カリスマ」と呼ばれる人の特徴ではないか?と思っています。
「強い魅力とともに、その魅力に一定の汎用性(再現性)が見られ、人びとの模範となるモノ」
という点です。

「カリスマ」と言われるようなミュージシャンは、別に何もないところから音楽活動をスタートしたわけではなく、聴き惚れた音楽、参考にしたミュージシャンたち、というものが存在するはずです。
ここで面白いのは、「カリスマ」と呼ばれる人たちのことをよくよく調べると、その
参照したミュージシャンたちが必ずしも「カリスマ」であるとは限らないということです。
具体例を挙げるときりがないので、書きませんが、我々が「カリスマ」とか「ロックスター」などと呼んでいる人の参考となり、本人がリスペクトしているのは「それほど知名度が高くない」が「とてつもない個性を有する」が「身体的特徴であったり常人では真似のしようがない」ミュージシャンだったりします。
「カリスマ」と呼ばれるひとは、そういった「真似できない個性」を汎用性(再現性)のある表現に落とし込んでいる場合が多いと感じます。

と言った意味で、同世代には「Chara」や「UA」、ちょっと後になると「Cocco」などの素晴らしいアーティストがいるじゃないか!とご指摘を受けそうですが、彼女たちが素晴らしいアーティストであることは私も、誰しもが認めるところではあると思うのですが、魅力に「個性」要素が強すぎて、「汎用性(再現性)」があまりなく、真似しづらいのです。
その点、YUKIさんは強烈な個性とともに、「部分的に」真似できる汎用性も有しています。それは音楽性だけでなく「生き方」「考え方」についても言えます。

その証左に、上記YUKIさん以外のアーティストのWikiの「(音楽)ジャンル」欄を見てみると複数の音楽ジャンルが記載されています。ところがYUKIさんのページには「J-POP」の一つのみの記載になっています。

ここでまたウンチクなのですが「POP」という音楽ジャンルは、定義が曖昧なのですが、特徴としては、音楽ジャンル横断的で「POP」の名な通り、「はじける(楽しい)感じ」や「バラードでも歌詞に希望がある」などで、結果的にハッピーな曲などを指すことが多いです。

で、話を戻すと、つまりYUKIさんは日本音楽界の「The POP」の女性アーティストと言えます。言い換えれば、
「女性J-POPとはYUKIさんの音楽のことを指す」
とまで言っても過言ではないのです。
したがって、YUKIさん以降の女性POPアーティスト(バンドボーカルも含む)は、YUKIさんを直接的もしくは間接的に教科書としているのです。

どうですか?スゴくないですか!?

そうなんです。これがYUKIさんのスゴいところなのです!

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