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  • ベイズ深層学習と人工意識 哲学的・歴史的展望

    株式会社agbeeのつくる人間と協調するロボットagbeeの根幹部にあたるベイズ深層学習についての哲学的・歴史的展望について、エッセイ風に大切な本や面白い本、難しい論文などの紹介をしながらCEOの奥出直人が考え、書いていきます。 agbee社のサイトは下記です。 https://www.agbee.co.jp/

最近の記事

50年まえの自分にフランス語の講義をしてみた。(3)

さて、前回の手順で今回もやってみよう。 デリダの文章をClaudeに渡す 次の文章を解釈し文法的な解説もして下さい。 Par une nécessité qui se laisse à peine percevoir, tout se passe comme si, cessant de désigner une forme particulière, dérivée, auxiliaire du langage en général (qu'on l'entende

    • 50年まえの自分にフランス語の講義をしてみた。(2)

      奧出:フランス語を初歩からもう一度勉強したいと思います。大学時代に第二外国語で勉強しました。Tutorとして指導をよろしくお願いします。 Claude: フランス語の学習を再開されるとのこと、素晴らしい決断ですね。大学時代に学習された経験も、きっと今回の学習に役立つはずです。 Tutorとして、以下のようなステップでフランス語学習をサポートさせていただきます。 発音とアルファベットの復習 フランス語特有の発音rules.jpgを再確認し、アルファベットの読み方を復習しま

      • 50年まえの自分にフランス語の講義をしてみた。(番外編)

        昨日のグラマトロジーの解釈の投稿に対して、友人でフランス語に詳しいマーケティングの専門家から次のようなメッセージが来た。確かにそうだ。 ーーーーー 大変興味深く拝読しました。 Claudeの働き、大体は良いのですが、基本的なところで重大な(文法解釈的に)間違えがありますね。 最初の文章中の"dont"は前置詞と説明していますが、品詞としてはde+名詞を先行詞とする関係代名詞です。 こんなことまでできるんだ、という驚きもある一方、まだ信頼に足りないところもあり、盲信は怖

        • 50年まえの自分にフランス語の講義をしてみた。(1)

          18才の4月、僕は大学の一年生になったが、日𠮷で学生運動のバリケードがはられ大学は閉鎖されて、することがなく、アテネフランセにフランス語を勉強に行き、そこでクラスメートからデリダの『グラマトロジー』の翻訳を教えてもらった。日本語でも読めたのかどうかわからないが、不思議な気がした。当時勉強を始めていた構造主義人類学や、言語学をぼろくそに書いていた。文学部は二年生から三田なので、よく覚えていないが、三田でアドホックに一般教養の授業と専門の授業が始まったと思う。19才の時だ。 そ

        50年まえの自分にフランス語の講義をしてみた。(3)

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        • ベイズ深層学習と人工意識 哲学的・歴史的展望
          1本

        記事

          Quantum Mechanics Epistemology: Dedekind, Galois, and Beyond

          Quantum Mechanics Epistemology 奧出: 上記のようなタイトルの講義を作ろうと思っています。この講義のTutorを務めていただけますか?学習者が量子力学にふさわしい新しいエピステモロジーを身につけられるよう、適切な問題を出題し、丁寧に指導してください。 授業の各段階で学習者の理解度を確認しながら、以下のような問題を出題してください。 Claude: デデキントからガロワまで: 問題:デデキントの切断の概念を用いて、実数の構成方法を説明せよ。

          Quantum Mechanics Epistemology: Dedekind, Galois, and Beyond

          生成AI時代の今、すべきこと: メタネーチャー学のエピステモロジー構築

          いまメタネーチャーというコンセプトで新しい学問をつくる活動をしている。生成AI時代にもっとも必要な活動だと思っている。この概念は早稲田大学の斎藤賢爾君が大分前から提唱している考え方で、デジタル世界もネーチャーとして思考の対象とすべきだ、というものだ。 この動きは生成AIの登場でかなり正確に新しいエピステモロジーを構築できる方向に向かっているが、量子力学とそれを説明する数学のエピステモロジーの十分な展開が、それこそ原子爆弾の開発の責任を科学者が放棄した時点でとまっていて、この

          生成AI時代の今、すべきこと: メタネーチャー学のエピステモロジー構築

          デリダのグラマトロジーを読みながら、いろいろと考えてみる(2)

          奧出:次のデリダのテキストを翻訳してください。 exergue 1. Celui qui brillera dans la science de l'écriture brillera comme le soleil. Un scribe (EP, p. 87). O Samas (dieu du soleil), tu scrutes de ta lumière la totalité des pays comme si c'était des signes cun

          デリダのグラマトロジーを読みながら、いろいろと考えてみる(2)

          デリダのグラマトロジーを読みながら、いろいろと考えてみる(1)

          2024/05/06 先日からデリダの『グラマトロジー』をフランス語で一パラグラフ毎に読んでいる。僕のフランス語はへなちょこなので、英語と日本語に訳してもらい、さらにフランス語は文法的説明を解説してもらっているが非常に面白い。 僕と『グラマトロジー』の出会いは50年ちょっとまえ、18才の5月頃だ。日𠮷の慶應キャンパスが学生運動で閉鎖されて、大学することもなく、お茶の水のアテネフランセに通ってフランス語を習っていたときに、読んでいる、いや正確には持っているやつがいて、教

          デリダのグラマトロジーを読みながら、いろいろと考えてみる(1)

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(3)

          さて前回で序論ができあがった。ここに書いておく。 序章 ドラフト1 2024/04/29   科学技術の進歩は、人間の知のあり方に絶えざる変革を迫ってきた。だが、その変革の波は、時として予期せぬ暗礁に乗り上げる。20世紀、原子物理学の発展は、人類に計り知れない恩恵をもたらした一方で、広島と長崎の惨禍という形で、科学者の手を血に染めた。量子力学の確立を担ったアインシュタインとオッペンハイマーは、原爆開発に直接・間接に関与することで、科学と倫理の深淵な相克を体現する存在となっ

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(3)

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(2)

          さてせっかくGPTstoreに『論文工房』を読み込ませて論文指導出来るようにしたのに文章生成中にシステム落ちまくりなので、プロンプトエンジニアリングをしてClaudeに論文指導できるようにひとつずつやってみた。 修士論文でも博士論文でも、なにをしたいのか?を考えなくてはいけない。まあ、じつは学生が何か書いてくればそれでいい。それから指導は始まる。最初の最初はオリジナリティであり、つぎはなにを論じたいのかのトピックである。しかしこうしたお題をだすと書けなくなってしまうので、好

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(2)

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(1)

          これから暫く『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる:を連載する。 まずChatGPTstore に筆者が昔に学生の論文指導向けに書いた冊子のPDFを読み込ませた。 読み込ませた後、目次をつくってください、と聞くと目次が表示され、論文執筆の関する質疑応答を行なってくれる。 ChatGPTは対話が得意なので、しばらく興味のあることを対話して、ある程度量がたまったら、Claudeに読み込ませて整理させて清書をさせる。このあたりはCl

          『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(1)

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/14

          昨日は5時間にわたって、AICから生成AIの使い方を普及させる方法を企業に普及させるプロジェクトの構想を議論した。SFC奧出研一期生の二人とこれ以上状況分析は出来ない、というところまで議論して非常に充実した場を持てた。企業が組織としてもつ役割が3つあって、経営者がどう考えるか?これはドラッカーが古くはアリストテレスが言っているように、企業として組織として存在することが企業とそれが存在する「環境」つまりは社会なり自然環境なりにとって善きものであること。これは徳倫理学であり美徳で

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/14

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/13

          メタネーチャークラブ結成 昨晩はAICで半年ほど生成AIをつかったあたらしいヴィゴツキー型学習環境システムを作ってきたメンバーと今後の方向を議論した後、魚さんで食事。日𠮷の飲み屋はここにつきる。なんと四年半ぶりに通い始めた日𠮷の商店街の夜はキャバクラの客引きというみなれぬ雰囲気が。近くにタワマンもできてきて、サラリーマンも多く乗降する。街の生態系は面白い。生きているね。 さて、今回ははじめは集まる場所もなく有楽町でagbeeが借りることが出来るミーティングスペースで繰り返し

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/13

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/11

          本当の学術論文を書くTutorを作ろう 今日からAIC生成AIプロモーション日記を付けることにする。Facebookに書いたことを日々まとめていきたい。 いま研究者がやらなければならないことは、新しく知を創造することである。なにを当たり前のことを言っているのかと思うかもしれないが、今世の中が必要とされている領域で新しく知を創出することに研究者がどれほど向かっているか?何が世の中で必要とされているのか、そしてそれが何故なのか、そしてそれをどう実現するのか?こうした問題を立て

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/11

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(2)

          ディスコースをつかんでパラフレーズを作る さて、今回はディスコースをつかんでパラフレーズを作るということを学びたい。これが出来ないとDeepLで翻訳しても、自分も理解できないし、それを読んだ人も理解出来ない。これはサマリーとは違って、原文を短くするというよりは的確に理解するための方法で、なれるまでは時間がかかるが、この方法を知らないと複雑な文章をそのまま味わって読むことは出来ない。 では前回の続きから。第1パラグラフの残りである。 Today, we would have

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(2)

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(1)

          構造をつかむ技法 暫く大学院の学生が専門書を読むときに出来なくてはいけない読み方の技法を説明していきたいと思う。いままで一度もまとめたことはなく、専門書の輪読演習で教えてきたことなのだが、15年ぶりくらいに僕の研究領域を根幹から揺るがす本が出て、これを熟読して、いま慶應義塾大学AICの特任教授として手がけているプロジェクトの理論的なフレームワークに使おうとおもって自分のためにまとめるのだが、この本の翻訳をみて大学院生の輪読でDeepL等をつかって一生懸命作りました、とあって

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(1)