投資家が世の中を変える
金融教育の専門家、遠藤です。
「評論家は好き勝手なことをいう」
こんなふうに思ったことはありませんか?
スポーツ中継の解説者、ニュース番組のコメンテーターなど、評論家は好き勝手に正論をいいます。私たちも少なからず評論家的なところがあると思います。スポーツ中継を見ながらあれこれ素人のくせに語ったりします。
ただ、これは悪いことではありません。
スポーツ番組やニュース番組は、視聴者があれこれ評論をすることを楽しむために、放映をしているからです。「語ること」は1つのエンタメです。
私たち投資家は、企業の評論家であるべきだと思います。
なぜなら会社を客観的にみてあーだこーだと語りたがるのは投資家だけだからです。
例えば、トヨタの財務状況について、もし改善の余地があるところがあれば投資家は「トヨタはもっとこうするべきだ」と語ります。
トヨタの株を持っていない人は、トヨタの業績に目もくれません。トヨタの業績への興味は皆無でしょう。
上場企業は当然として「不特定多数の投資家の目に晒されている」というストレスを、成長の糧にしています。投資家(評論家)が増えるほど、企業は良い意味でストレスを持ちます。
投資家を増やすためには育成が必要です。なんとなく雰囲気で株を買うのではなく、しっかりと企業の財務情報を見て投資ができる投資家を教育する必要があります。財務の数字だけでなく、非財務、たとえば人的資本経営についても評論をする投資家が増えると理想です。
私は先日、調査のためにある業績が良い企業のお店に行ったのですが、社員の方々が疲弊していたので株を買うのをやめました。少なめの人員でお店を回す、という戦略を聞いていたのでどんなものかと思えば、ただ現場に鞭を打っているだけのようでした。客は待たされるし、最悪でした。
持続性に不安を覚えましたし、仮に企業が成長して株が上がったとしても、負のオーラを土台に儲けたいとは思いませんでした。
これから社会人になる学生さんには、投資家目線を持って欲しいと切に思います。大企業ばかりを志望するのではなく、この会社に自分の時間を投資する価値があるのか、という視点で働く場を選んでほしいからです。
そのような若者が増えると、企業は嫌でも会社をよくせざるをえません。
上場企業が変われば、未上場企業も変わります。優秀な人材は取り合いだからです。
若者が投資家としての知識を持つことは社会的に有意義です。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
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