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ピアスを開けることが運命を変える事だと思っていた私達。

3.21 祝日
 姪の誕生日が近いので、兄の家に集まった。姪のリクエストのお取寄せちらし寿司が、一人前1万円と聞いて、ちらしと言うには値段が張りすぎるじゃん、ちらしてないじゃん、と思う。いわば押し寿司、いや重い寿司…(なにそれ)。美味しかったけれど。
 姪16歳。最近の16歳は資本主義社会を嘆いたりしないのだろうなぁ。と思う。16歳の子供のリクエストがハンバーグでもピザでも唐揚げでも無く1万のちらし寿司ってどうかしてる。少し将来に不安が。
 (ちなみに、私の今年の誕生日は夫とふたりでピザーラのピザだった。私の好み100%の4種類のマルゲリータのピザ、全て好みだったので残せる場所が無くて困った。)

 「尾崎豊」を知らない世代。いや、尾崎豊は知ってるんだろうけれど、「尾崎豊」を知らない世代だ。あの頃の空気感、あの空気の残り香すら嗅いだことが無い世代。「資本主義?そりゃそうでしょ、大人への反発ってなにそれ誰得?」とか言いそう。私だってほんの残り香世代だし、本当の意味で資本主義社会を嘆いたりしてこなかったけれど。(自国を「経済大国」とか言えたの、今思えばいい時代だったよね)

 家に帰ってゴロゴロしていたら、夫がゲームを始めた。ストリートファイターⅡ。ストリートファイターⅡって私が中学生の頃にも流行ってた。好きな男の子が好きだったゲーム。ある日彼に「ストⅡって知ってる?」って話しかけられたなぁ、教室の後ろの引き戸を挟んで休み時間、人が周りをワラワラしていた。後日ゲームセンターに連れて行かれて見せられたなぁ。はじめてのデートだった、デート?だったかなぁ。(とても昔の情景がだいぶんリアルに思い出されて驚く)

 私自身がストⅡをやった事は無いけれど(壊滅的にゲームの才が無いので)、あれから、件の彼や兄や従兄弟やその後の彼たち(夫含む)がやる姿を(ストⅡすごい人気だな)、何百回と見たことはあるので、見様見真似の技を真似して夫に繰り出したら、めちゃくちゃ笑ってて、嬉しい。
 「波動〜拳」って手を突き出すとめちゃくちゃ笑ってくれるので、今日は1日付き合わせちゃった夫にお礼の気持ちも込めて何度も「波動〜拳」ってやる(何に何の気持ちを込めているのか)、時々かめはめ波になる。二の腕がプルつき汗をかいた。
 この歳でなにやってんの。と、少し思う。
 あの頃はなるなんて想像もできなかった年齢に今なっている。

 尾崎豊で胸を熱くして、ブルーハーツで叫んで、ピアスを開けることが運命を変える事だと思っていた私達。私は何も変わらないよ。
(ちょっと尾崎っぽく言ってみた)

 その後、YouTubeで誰かが繰り出す波動拳(実写版では無くゲームの)を繰り返し見ている夫を見ながら、親兄弟に止められながらも持って帰ってきたちらし寿司の残り(少食夫婦ゆえ半分食べきれなかったのだ)を食べた。
 美味いけど、いつもの安い寿司屋の方が美味くね?とか言っている夫よ、共に戦おう。私たちは資本主義社会への挑戦者だ。(嘘である)

#尾崎豊

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