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88冊目【本のはなし】「ママ(パパ)の将来の夢はね、あなただよ」で本当にいいの?

「ママの将来の夢ってなあに?」
ある日の就寝時、わが子に質問されました。私は答えに困ってしまいました。「うーーん・・・」とうなったまま、いまだに答えられないのです。


仕事をしながら、子育てしながら、家事をしながら、「将来の夢」なんて考える気なんて起きませんでした。

40代を過ぎて、私は3回目の就職活動をしました。
理由は、包み隠さずに言って「お金」です。当時、わが子は小学4年生、塾に進学、将来の夢、叶えてやりたいと思うのが親心。それには「お金」があればあるだけいいのです。将来の夢を強いて言うなら「将来の夢は、わが子」でした。


その時、私は契約社員でした。
6年勤めたパート先の社員登用制度を利用して、契約社員になりました。自宅からもそう遠くなく、大元もしっかりした企業さんですし、数年頑張れば正社員になれるという話でした。


休暇はちゃんとありました。まとまった休みもとれるし、毎月必ず有休がとれます。働く方は、女性がほとんど。しかもママさんが多いので、子どもの発熱などの急な休みにも対応してくれます。

でも、それだけでした。

はっきり言って、お給料が少なすぎるんです。契約社員ともなると、社会保険の対象となるので、月給からひかれます。お給料日に入金される金額、つまり手取りが低すぎました。思わず時給換算をした結果、パート時代よりも低くて驚愕してしまいました。

休暇はちゃんとあります。けれど、ライフワークバランスなんて言いますが、ライフにはやっぱり時間もだけど、お金もだよな~。なんて思って1年経過、次年度の月給は、上司の評価(自分でアピールします)で決定します。1年目だからというのもおまけ的に付け加えてくれて、上々の評価をいただきました。本当におまけの月給アップ。子どもがお手伝いしたときのお駄賃のほうが多いかもしれないくらい。

WEB給与明細と同じページにあった、契約社員と正社員の給与テーブルの上限を見て、ここに長くいてはいけない、と本能的に感じました。


そもそも給与アップを狙って、社員登用したのです。しかも夫にもしものことがあったとしたら、このお給料ではどうすることもできなくなってしまう状況が目に浮かんでしまいました。


3年ほど前の話ですので、世の中は「働き方改革」をうたいだしたころ。私も改革することにしました。41才、その年の9月に仕事を辞めました。40代を過ぎて、私は3回目の就職活動です。


私にはゆずれない3つの条件がありました。「・残業ほぼない。・土日祝休み。・17時退勤希望もしくは、18時までOK。」です。なぜならわが子が、まだ小学生だったからです。

ちなみに我が家の事情、親が近くにいません。
夫の両親は他界しています。私の実家は、同じ県内にですが、自宅から車で1時間弱。電車で1時間30分強。

私たち夫婦に兄弟はいますが、夫の兄弟は県外、しかもノンストップで車を走らせれば8時間の場所。私の兄弟は、夫の兄弟よりも近いですが県外です。つまり親兄弟は頼れません。

ご近所さんは、高齢の方ばかり。ママ友は・・・恥ずかしながらおりません。なので、何があろうと夫婦でやっていくしかありませんでした。

しかし、当時の夫は、我関せず。
「あなたの子でもあるんだからちゃんと面倒見て!」と私。
「わからないのだから、仕方がない。だからやらないんだ!」と夫。
夫婦げんかは、日常茶飯事でした。こんな調子ですから、夫に頼ることはできません。

子どもを見ることができるのは、私一人。でもお給料アップを狙うなら、正社員でなければなりません。だから、3つの条件「・残業ほぼない。・土日祝休み。・17時退勤希望もしくは、18時までOK。」これをクリアしてほしい。そう思いながら求人票とにらめっこしていました。


その求人票には、「みなし残業」という言葉が、乱立しているように見受けられました。つまり残業ありきなんでしょ?それでは、困ります。誰が、子どもを見てくれるのでしょう。

私の3つのゆずれない条件に合いさえすればいい。希望職種も業種もありません。とにかく正社員で仕事をと応募し続けました。「不合格」という文言が増え続けてきました。私の中でひとつ、またひとつと疑問が沸き上がってきました。

どうして、母親業をしながら仕事ができるのか。
どうして、誰かを頼れるのか。
どうして、家族は協力的なのか。

どうして、あの時、仕事をやめてしまったのか。
どうして、あの時、資格をとらなかったのか。
どうして、あの時、大学進学しなかったのか。

そんな「どうして」の言葉でいっぱいになったころ、プツンと糸が切れてしまいました。


息をするのが精いっぱい。度重なるめまいで家事がまともにできませんでした。わが子の習い事のスケジュール管理のみ、何とか振り絞ってやっている状態。すべてを夫にお願いしました。結婚して11年目、はじめてだったのではないでしょうか。

夫は、ひとつひとつ丁寧にやってくれました。
できないところは、できないなりにスーパーのお惣菜やお弁当を利用していました。そんな夫の様子を見ていて、ようやく「頼っていいんだ」と思い始めました。

そして私はついに夫に、
「就職活動がうまくいかない、正社員になれない。もう少し時間が欲しい。」そう助けを求めました。

夫は、
「大丈夫だよ、ゆっくりでいいよ。でもね、一つだけアドバイスさせて。正社員に固執することもないんじゃない?」


その言葉は、お金を稼ぐには、正社員でなければならないという先入観を崩してくれました。


夫のアドバイス通り、雇用形態の枠を正社員だけではなくて、契約社員、派遣社員などに広げてみたところ、あっという間に、派遣社員として採用決定し、今の職業についています。子育てに十分理解してもらっていて、残業がほぼありません。しかも働き始めてから「リモート推奨」を掲げています。


そのおかげで、時間に余裕ができました。その時間を使って、興味のあることをはじめてみました。

だから、自分の将来の夢について、思う存分考えることができました。次にやることは、この将来の夢を叶えるためには?と思考する頃合いになっているようです。


私は無性に不安になりました。「将来の夢」なんていい年した中年女が持つべきじゃない、どうせ無理だ・・・。そんな言葉で埋め尽くされそうになった時、kindleの書籍紹介に同じ言葉をつぶやいてた人が、やりたいことをやって、人生がものすごく変わった!という実体験本をみつけてしまったのです。

こうなる!と決めるから夢が叶う(なかたに ゆか)

「行動」しなければ、何も起こらない。今、どうせ無理とつぶやいた言葉は、防衛本能の一種らしいのです。危険察知能力の高い人間だからこそ備わっているものだと知人が教えてくれました。

それを踏まえたうえで、「行動」しなければ、何も変わりません。そんなことはわかってます。でもやっぱり言ってしまう「どうせ無理」という言葉。それを「とりあえずやってみよう」に変えてくれる本でした。

とりあえず、わが子に聞かれた「将来の夢」の答えを言える気がします。


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