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短編小説『金曜日が待ち遠しい』

ワタシは、今までのワタシではなくなった。

過去を脱ぎ捨てた。

赤子のように未来だけを背負って生きていく。

お父さんの思い出。

オトーサンとの出会い。

そして、オトーサンから貴島さんに変身した。

その貴島さんが、私を変えてくれた。

私は生まれ変わった。

足かせを外されて、自由になった。

今なら、羽が生えて自由に飛び回れそう。

また、音楽をやりたくなった。

今なら、いい曲を作れそう。

大勢の人の前でも堂々と歌える気がする。

ありがとう、貴島さん。

金曜日の夜に、貴島さんが来る。

また、食事を作ってあげる。

この前は、オトーサンだったけれど、今度は貴島さんとして。

キャンドルの明かりの中での食事。

スパークリングワインの輝く泡。私は歌う。

貴島さんの優しい顔。

二人で見た花火の美しさ。

そして未来を語り合う。

そして私の中で、打ち上げられる花火。

金曜日が待ち遠しい。




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