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龍馬が月夜に翔んだ

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#明治維新

月は見ていた(『龍馬が月夜に翔んだ』より)

ここを飛び降りるしかない。

龍馬は、欄干を跨ごうとするが力が出ない。

頭から乗り越えようとした瞬間。

龍馬に衝撃が走った。

背中を力任せにこん棒で打たれたような衝撃。

見ると、胸から角のようなものが飛び出した。

大石鍬次郎が背後から、龍馬を手槍で突いたのだ。

龍馬は、心臓を後ろから一息に差された。

心臓を貫いた穂先は、勢い余って龍馬の体を突き抜けた。

龍馬は、刺された衝撃で欄干か

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背を向けるものは、斬る!(『龍馬が月夜に翔んだ』より)

背を向けるものは、斬る!(『龍馬が月夜に翔んだ』より)

服部武雄が、龍馬の用心棒の藤吉の強烈な羽交い絞めで落とされようとした時、抜き身の手槍を手にした大石鍬次郎が、疾風のような速さで二階を駆け上がってきた。

「中岡慎太郎は何処じゃ。お前ら、ぶった斬られたくなけりゃ、大人しくしろ」

奥の部屋に入ろうとするが、行く手は服部を羽交い絞めしいる藤吉がふさいでいる。

「服部さん、ご無礼」

大石は、羽交い絞めしている状態のまま藤吉の脇腹に手槍を浅く突き刺し

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