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龍馬が月夜に翔んだ

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2023年2月の記事一覧

時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第31話(最終回) 「月に帰る」

時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第31話(最終回) 「月に帰る」

「お龍」

布団の中にいて寝つかれなかったお龍は、今確かに龍馬の声を聴いた。

はっきりと、龍馬から名前を呼ばれた。

夜明けのように障子から薄明かりが差し込んでいる。

お龍は、障子を開けた。

見事な満月。

何処から聞こえるのか、清らかな鐘の音か長く尾を引いて流れている。

向こうの山影から青白い光の玉がすっと上がった。一直線に満月に向かって昇って行く。

そしてその青白い光は、満月の光に照

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時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第29話「龍が駆け上がる」

時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第29話「龍が駆け上がる」

「リョウマ、マダシヌナ、ユメガアルハズ、シヌナ、ユメユメ、ユメヲカナエヨ、マダシヌナ、リョウマ、シヌナ」

瀕死の中岡慎太郎があえぐようにつぶやいている。

よし、寺田屋の時のように、力ある限り逃げよう。

あの時のように屋根伝いに逃げよう。

しかし、あの時はお龍がいた。

三吉慎蔵もいた。

今、誰もいない。

恐怖よりも孤独に胸が締め付けられる。

龍馬は左手に持った抜き身の脇差を杖代わりに

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時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第28話「夢をかなえよ、まだ死ぬな!」

時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第28話「夢をかなえよ、まだ死ぬな!」

火鉢の灰を頭からかぶった龍馬は、一瞬何が起こったのか理解できない。

炭の火の粉もはねたようで、髪の毛の焦げた匂いがする。

目が明かない。

耳が聞こえない。

辺りは騒然としているのに、沈黙の世界である。

先程流した涙のおかげで、闇が溶け出すように徐々に視界が蘇ってくる。顔を袖で拭おうとしたが右手が焼けるように熱い。重くて手が上がらない。

右手を見る。

拳銃を握ったままになっている。右手

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