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「香田さん、ありがとう」 力を振り絞って声を出したつもりなのに、かすれてしまって弱々しく…
♬色あせる街並み 光りを失ってゆく街に 窓に灯りだす明かりは 私には眩しすぎる 涙で…
裕司が眠っている。 私は、傍らでずっと裕司の寝顔を見ている。 夜は眠れないと言っていた。…
「香田さん、ちょっと」 青山部長に呼ばれた。 別室に来るように言われた。いつもは柔和な表…
貴島さんと奥さんが、きんぴらごぼうとだし巻き卵を持って来て下さった翌週の月曜日。貴島さん…
綺麗な満月だ。 眠れないので、カーテンを少し開けて、ずっと見ている。 左手に繋がれた点滴の…
「帰ろう」 裕司が、さっとレジ袋を持ってくれた。 私の心の中が暖かくなった。 私は敗者をいたわる裕司の優しさを感じた。 レジ袋が裕司の手に渡った時、娘さんの目の悲しさの度合いが増した。 あなたは勝っているのよ。 なのに、そんなに悲しい目をするの。 「何か邪魔しちゃったみたいね。独り暮らし?よかったら一緒に御食事しない?私が作ってあげるわ。二人も三人も一緒よ。私達ちょうど、あなたと同じくらいの年頃の娘がいるの」 裕司の顔を見た。 何かを言い出しそうな顔。 「