マガジンのカバー画像

『天国へ届け、この歌を』スマホ版

122
運営しているクリエイター

2020年10月の記事一覧

短編小説『お父さんと夕焼け の中を歩き続けたい 』

レジを終わって、食材をエコバッグに入れるのをオトーサンは手伝ってくれようとした。 お豆腐…

23

短編小説『鯖の煮付けとスパークリングワイン』

いつもの駅で降りる。 いつも降りる反対側の出口から降りる。 娘のカンナと同じくらいの、親…

30

短編小説『あの川を渡ると、私は本当の自分にもどる』

会社を出て、ホームでオトーサンを見かけたとき、思わず駈け出してその腕にすがりつきたくなっ…

19

短編小説『川面に映る夕日の記憶を残しておきたい』

いつものホーム、いつもの時間、いつもの車両に乗った。 いつもと違うのは、私の座っている前…

13

短編小説『お父さん、ごめんなさいと言わせて』

今夜のことは、夢の中の出来ごとみたい。 オトーサンと話をすることができたなんて。 やっぱ…

22

短編小説『父の面影に医師は涙を流す』

「田中先生」 年配の看護婦が凍り付いた空間を破って、教え子に解答用紙を突き返すように一枚…

24

短編小説『悪魔の紋章に変わる時』

「手術したら、治るのですか?」 「手術?」 若い医者は、少し顎を上げて目の前の何もない空間を見つめた。 裕司も良く考え込むときに、同じようなしぐさをする。 徐に、びっしり細かい文字が書き込まれている紙が、きっちりと閉じられているバインダーを捲りだした。 裏面が白紙になっている紙を探しているらしく、それは中々見つからなかった。 やっと見つけると、一番前に閉じ直した。 そしてその紙に、三色ボールペンを使って、熱心に絵を描きだした。 裕司も、ペンの持ち方は悪いけど、

短編小説『木蓮の花の香り』

「貴島さん、分りますか?ここのところに黒い影が映っているでしょう。こちらが、4月結果の分…

19

悪夢(3-3)悪い予感

黒と灰色だけの世界。 寒さは、全身を縛り付けた上に、コートの袖口や首の周り、スラックスの…

11

悪夢(3-2)逃れることからの自由

彼女がさっき言った「自由」、どういうことなのだろう。 コタツに足を深く入れて、仰向けにな…

15

悪夢(3-1)流氷の叫び声

ある日、行きつけのカウンターバーに新人の女の子が入っていた。 小柄で色白の目鼻立ちがはっ…

19

眠れない夜。最近よく見る夢。

彼女が、私に亡くなったお父さんを投影しているならば、先程彼女を「女」として感じたことを恥…

12