おこのみやき

大学生/劇場という空間と、観劇という体験が好き。自分の考えを整理するために書いています…

おこのみやき

大学生/劇場という空間と、観劇という体験が好き。自分の考えを整理するために書いています💐宝塚は全組観劇派

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🌹自己紹介🌹

 記事数も増えてきたので、遅まきですがちょっとした自己紹介を置いておこうと思います。   普段は都内の某美大で美術史や美学の勉強をしている大学3年生です。主に映像字幕の視覚的な効果について研究しています。また、ときどき学業と並行して展覧会の企画やキュレーション、作品制作(インスタレーションや演劇作品)を行なっています。名前は一番好きな食べ物「お好み焼き」から付けました。 なぜnoteを始めたのか もともと、考えたり、文章を書いたりすることが好きでした。基本的に文章を書くのは

    • ほのぼのやろうぜ 花組「Liefie -愛しい人-」

       先日、日本青年館ホールにて花組「Liefie -愛しい人-」を観劇した。まずは、東上初主演となった聖乃あすかさん、七彩はづきさん、おめでとうございます。  今作品については、珍しく開幕の翌日に観劇することができたため、前情報をほとんど入れずに劇場へ向かったが、観劇後には劇場内でもSNS上でもちらほら否定的な意見を耳にした。主にはストーリーが魅力的ではないという意見だが、私はそのことに賛成しつつも、このストーリーには良いところもあって、それを活かす方法が他にあったのではない

      • 「モダン・ミリー」についての記事、たくさんの方に読んでいただけているようで嬉しいです!これからもよろしくお願いします☘️

        • エンタメ性と批評性の両立は可能か 「モダン・ミリー」

           先日、「モダン・ミリー」の初日を観劇してきた。2020年の中止を経て、2022年再演、今年は再々演になる。私は、原作映画も前回の上演も未見だが、前情報として「ブロードウェイでは上演が中止されている」ということが分かっていた。「中止」というより、「禁止」と言った方が分かりやすいかもしれない。そうなっている理由は2つ考えられる。 ①劇中に中国人差別と思われる表現があること ②主人公の第一の目標が結婚であること  この2つの問題をどのようにクリアし、再演が許可されたのかという

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        🌹自己紹介🌹

          花組新トップコンビに捧ぐ 〜大好きの気持ちを込めて〜

           花組の新トップコンビに永久輝せあと星空美咲が就任することが発表されてから、早半年が過ぎようとしている。お披露目公演の「ドン・ジュアン」初日も迫った今、私の考える2人の魅力、コンビとしての魅力を目一杯綴ろうと思う。  私にとって永久輝の魅力といえば、歌い出すと声だけでもすぐに永久輝だと判別ができる、艶やかで哀愁のある歌声。群舞ではキリッとした眼差しで、ハキハキと踊る。だから舞台以外でもハキハキと真面目な性格なのかと思いきや、素はギャルというのが1番のギャップ。先日、最後のカ

          花組新トップコンビに捧ぐ 〜大好きの気持ちを込めて〜

          ウエクミ先生がnoteを始められてる!びっくりして、嬉しくて、初めてつぶやき機能使っています。今日もちょうどウエクミ先生の「神々の土地」の映像を見ていたところです。「上田久美子の創作ノート」とっても楽しみです。

          ウエクミ先生がnoteを始められてる!びっくりして、嬉しくて、初めてつぶやき機能使っています。今日もちょうどウエクミ先生の「神々の土地」の映像を見ていたところです。「上田久美子の創作ノート」とっても楽しみです。

          2024年上半期の観劇記録

           気づいたら2024年も折り返しに差し掛かろうとしていて、焦っています。この焦りをおさめるために冷静に振り返りを…と思い、今回はいつもの記事よりライトな感覚で上半期の観劇を振り返りたいと思います。すでに1月とかは記憶が曖昧ですけど、なんとか掘り起こしたいと思います!!!!がんばれ 上半期の統括 いつもストプレ:ミュージカル=1:1ぐらいの比率で観劇しているはずなのですが、今期は気づけばほとんどミュージカルでした。めずらしく歌舞伎の鑑賞もなし。  正直、ミュージカルのチケット

          2024年上半期の観劇記録

          物語を再構成する ミュージカル「この世界の片隅に」

          はじめに 少し期間が空いてしまったが、5月中旬、日生劇場にてミュージカル「この世界の片隅に」を観劇した。上演されることは前々から知っていたものの、開幕後の反応を見てから観劇するかどうか見極めようと思い、チケットは買わずにおいた。結果、ネット上の反応を見る限りは評価は悪くなく、当日券で半額ほどの学生券が出ていることを知ったため観劇することにした。なぜ、こんなに私が及び腰だったかというと、私が「この世界の片隅に」の原作、そして原作者こうの史代のファンだったからである。 演出と

          物語を再構成する ミュージカル「この世界の片隅に」

          宝塚とフィクション世界② 雪組「ALL BY MYSELF」

          はじめに 昨年12月の花組全国ツアーぶりに相模女子大学グリーンホールを訪れた4月。楽しみにしていた雪組「ALL BY MYSELF」を観劇した。幕が上がって、何より強く感じたことは、劇場の中に劇場が、そして彩風咲奈の中に彩風咲奈がいる!ということだった。メタフィクションが好きという話は、すでに一つ前の記事で述べた。 ※前の記事を読まなくても、この記事は支障なく読めます  そこで述べたことを踏まえた上で、「ALL BY MYSELF」もメタ構造を持つ作品であると言わせてほしい

          宝塚とフィクション世界② 雪組「ALL BY MYSELF」

          宝塚とフィクション世界① 雪組「ボイルド・ドイル・オン・ザ・トイル・トレイル」

          はじめにメタフィクションとは  今年の1月から2月は雪組と過ごしたと言ってもいい。思い出深い「ボイルド・ドイル・オン・ザ・トイル・トレイル」。東京宝塚劇場で数回観劇した。劇的な展開はなくとも当て書きの利を活かした脚本で、各演者の個性による自然な展開があった。本作を観劇して最初に想起したのは、2022年に上演された花組「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨」(「ボイルド〜」と同じく生田大和作/演出)である。2作品の共通点は作者が同じであるというだけでなく、現実世界と物語の非

          宝塚とフィクション世界① 雪組「ボイルド・ドイル・オン・ザ・トイル・トレイル」

          舞台上の見えない何か 星組「VIOLETOPIA」

           4月初旬、星組公演「RRR/VIOLETOPIA」を観劇した。ショー「VIOLETOPIA」は演出家指田珠子の大劇場デビュー作である。彼女は、これまでに「龍の宮物語」(星組)、「冬霞の巴里」(花組)、「海辺のストルーエンセ」(雪組)を手がけており、私はどれも映像で拝見した。 指田珠子の作家性  彼女の作・演出作品を初めて見た時に受け取った印象は、既存の「宝塚らしさ」から少しずつはみ出していこうとする姿勢だ。特に「冬霞の巴里」でのおどろおどろしく大胆なメイクには驚かされた。

          舞台上の見えない何か 星組「VIOLETOPIA」

          私の好きな宝塚歌劇と、その「宝塚」が持つ構造の気持ち悪さについて

          ※正直、最初の章は読み飛ばしてもらって構わないので、後半を読んでほしいのです。 私の好きな宝塚歌劇  宝塚歌劇を初めて観たのは2017年のことだったと思う。幼少期に宝塚OGが運営するスクールでバレエを習っていたり、母が兵庫出身であったことから宝塚という存在を認識してはいたが、そこまで思い入れのあるものではなかった。ただ、従姉妹の友人にジェンヌがいたことで、観劇の機会を得たのである。  とは言っても、自分の意思でチケットを取り、観劇するようになったのは最近のことだ。その中

          私の好きな宝塚歌劇と、その「宝塚」が持つ構造の気持ち悪さについて

          一ト言も云ってくれない 小津安二郎「非常線の女」

           無声映画の何たるかを、私はこれまで深く考えてみたことがなかった。映画はよく観る方だが、「声が無い」映画など私にとっては一大事である。無声映画を観ると、あまりにも静かで、たとえホラーでなくとも後ろから見つめられているような変な寒気がする(ような気がしていた)。だから、長編の無声映画を最後まで観た試しがない。それでも今日、小津安二郎の無声映画「非常線の女」を映画館で観た。 果たして、そこに声は無かった。  掛け時計の音も、ダンスホールの楽隊の音楽も、私と同い年くらいの頃の田

          一ト言も云ってくれない 小津安二郎「非常線の女」

          舞台はいかに柔らかくなり得るか 東京都現代美術館「柔らかな舞台」

           常日頃から長いカタカナの名前は覚えづらく感じているが、ウェンデリン・ファン・オルデンボルフは幾度耳にしてもなかなか記憶に残らない名前であった。そのような私が彼女の名前をしっかりと記憶に刻んだのは、彼女の講演会に「参加」したことがきっかけである。東京都現代美術館で開催中(2022年11月12日-2023年2月19日)の「ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台」はオランダを代表する現代アーティストの一人である彼女を紹介する日本で初めての展覧会だ。オルデンボルフは過去

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