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時間の速度

時間の流れる速度は世界中どこも一緒なんだろうけれど、感じ方はその場所や状況や気分で早くも遅くもなる。

今日は大好きなハーブサウナに、大好きなプラカノン運河のボートに乗って行って来た。
私の中のスペシャルコース。

車やバイクが行き交う大きな通りの裏側にある運河。
船着場からもう既に時間の流れが変わって、バンコクの喧騒が嘘のような景色が始まる。
隙間だらけの足場と斜めに傾いた木のベンチ、お世辞にもきれいとは言えない茶色い川。ボートに乗るのか乗らないのか、ベンチで寝ているおじさん。二時間に一本のボートが出発を待っている。

言われなければお客さんにしか見えない、傾いたベンチに座るおじさんに行き先を告げてお金を払う。
料金は大人ひとり15バーツ。45円ほど。
停泊したボートに乗り込んで、ぼんやりと空を見たり川を見たり。近くの市場で大量の食料を買い込んできたであろうおばさんが、たくさんのビニール袋に埋もれて乗っていた。

はぁ、と大きく息を吐く。
舳先にタイらしい飾りを着けた、20人も乗ればいっぱいのボートの狭い座席に腰掛けているだけで、なんだかどんどん力が抜けていく。
長男に「今何時?」と聞かれたと思ったらボートが動き出した。
12時だ。

バンコクは昔「東洋のベニス」と呼ばれていたんだそうだ。
人々の生活に欠かせなかった水路は開発が進むと共に姿を消していったのだろう。
けれど完全に無くなった訳ではなくて、今も立派な交通機関として利用されている路線はある。
そこへきて二時間に一本しかないプラカノン運河のボートは、交通機関としては不便すぎるし、私も人づてに聞くまで存在を知らなかったぐらいなので、観光客もあまり見かけない。
でもそれがまた良いのだ。
今でこそ渋滞が名物の大都市だけど、埃っぽい通りと並行するように流れるこのプラカノン運河は、普段見ているバンコクと同じ速さで時間が進んでるとは思えない。

走り出すと途端に心地いい風が顔を撫でて行く。
ボートは船着き場に人が立っているか、降りる人がいる時だけ停まる。
その多くはお寺であることが多いのだけど、中にはいくつかどう見ても人の家だよねここみたいな船着場がある。
川にせり出した家の裏側に申し訳程度に作られた足場。
ここで乗り降りする場合は絶対ここのおうちにお邪魔しないといけないよな。。それとも個人の船着場とかあるのだろうか。何度も乗っているけれど謎のままだ。
風通しの良さそうな家の生活を覗きながらボートは進む。

たくさんの木の緑。お寺。モスク。人の家。洗濯物。何をする訳でもなく座っている人。自転車を漕ぐ少年。犬。公衆電話。ゆーっくりゆっくり小さなボートを漕いでどこかへ向かうおばあちゃん。
特別なものは何もないけど、私にとっては特別大好きな景色。

乗る度にあーやっぱりいいなぁ、と思う。
運河を流れる時間はひたすらにゆるやかで、川の水は全然綺麗じゃないのに不思議なほど清々しい。
癒される、という言葉がぴったりだ。

田舎の方へ行けば都会より時間はゆっくりに感じるけれど、水辺だとまた違う流れであるように思う。
単なる好みの問題だろうか。
水辺に漂う空気が大好きです。

30分ほどボートに揺られて辿り着く、とあるお寺の境内にあるハーブサウナもまたなんとも言えない時間の流れる場所なのだけど、長くなっちゃったのでまたの機会にでも書こうかな。

今日もぐっすり眠れそうです。

(9/100)

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