死ぬ前に食べたいもの

少し前、夫に

「死ぬ前に食べたいものはって聞かれたら何？」

と質問した。

私は、母の作ってくれたポトフだ。

『なんてことない料理だけれど、作ってくれた人の温かさや愛情を思い出す。そんな一皿が誰にとっても最後に食べたいものになるのではないだろうか。』

そう思っていた私は、夫は答えに

夫の母が作ってくれた煮物だったり、もしくは私が今まで作った料理の中で一品挙げてくれるかもしれない、と淡い期待もしながら答えを待っていた。

少し考え、返ってきた答えは

「ウニ・イクラ・カニ丼…！かな。」

どうやら夫は、死ぬ前には大好物で口をいっぱいにしたいというシンプルな考え方のようだ。

なんとなく夫らしい。と納得しながらも、

いつか私のポトフが強敵海産物三兄弟に勝る日がこないだろうかと密かに思いながら、週末の朝作り続けている。