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241. 救いはいつでも目の前に

孤独だ
友達、家族、恋人
誰がいても
誰と話しても
何を学ぼうとも
何を経験しようとも
満たされぬ何かがそこにある

いま自分は満たされている、幸福である
そう思うことが「可能な」ときがある
ああこのままいけば私は大丈夫だ、安泰だ
この調子でいければ
そう思いながらも
目を背けることができない
無視することはできない
一抹の違和感や不安
懸命に見て見ぬフリをする
そうしていつしか大きくなったそれは
やがて綻びを生み出す
気づくと壊れていた
いや
壊れつつあったことに気づかないフリをしていた

今も昔も
いつだってそこにある
怖くてたまらない
またいつかそこに戻ってしまうことが

ときに私は能動的にそこへ立ち還る
ひとりでいたいと願う
能動的孤独は心地よく
私に多くを与える
孤独ゆえに私は異なり
彼らは異なる私を欲する

一人で物思いに耽る
それもいいだろう
自身の考えは整理され
思想が育まれ
「私」が生まれる
差異は価値を生み
彼らはその価値に群がる

孤独と価値が同義であるなら
彼らが私を望むのなら
より一層を
彼らに与えよう
更なる差異を、希少を
より特殊に
より狂おしく

そうしてもう少し独りになった私を彼らは讃える
私が欲しかったのは賞賛だったろうか

まだまだ満たされぬ何かがここにある
わかってほしいと望むのならば
後ろを振り返るべきか
気づけば進みすぎていた
周りには誰もいない
どこへ向かえば誰かに会える
わからないまま進む先に
僅かな希望を託して

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