吉報
田舎の花事情は派手だ
畑の脇にハイビスカスが植わっていたり、紅白のサルスベリが家を囲うように満開だったり、大きな百合の花が塀に沿うようにたくさん咲いていたり
目に映るほとんどが山や畑なだけにパキッとした原色めいた花はちょっと浮く
しかし、ここが生活している場所だからそう見えるのか、案外景色に馴染んでしまう
または田舎ってそうゆうものという出典の分からないうっすらした記憶からなのか、その派手さ故に田舎らしさを醸し出してくるから不思議なものだ
一方、山々に自生する野花は控えめ
ほとんどは薄い色で名も知らぬ小さな花だけれど、波打つ草原に数え切れないほど咲き誇っている
午前のミーティングで、出っ歯の元同僚が再就職を決めたとの知らせ
この困難な時代に彼はやってのけたようだ
おめでとうのLINEを早々に送る
ケチで口は悪かったが忍耐強く柔軟な頭の持ち主、小さなことも積み重ねることの大切さを生きながら示してる
時たま日付が変わるまでお酒を交わし、中身のない話をだらだらと続けたものだ
そこに生産性は皆無だったけれど
彼といるときの自分はすきだった
お盆休みの影響でいつもより遅くなった今夜
見上げれば雲はほとんどなく満点の星空
久しぶりに天の川が出ている
都会の人がみれば歓声が上がりそう
短い帰路で流れ星を2つも見た
なんて縁起のいい奴なのだろう
流れ星といっても無論それは一瞬のことで「あっ」とか「おっ」などと気の抜けた声を発しただけなのはご愛嬌
それでも夜空の無数の星たちに願う
彼の人生よ、この先どんな事も面白くあれ
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