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2022年の創作とボトルメールの話

これまでの話

友達に感化されて、久しぶりに小説を書き、せっかくだからとネットに投稿したのが2020年の10月。
どうやら文章はある程度継続して書き続けないとすぐに書けなくなってしまうようだと気がついて、とりあえずどんなに短くても何か定期的に書こうとnoteを更新しはじめたのが2021年の5月。
(一応noteには2021年2月から小説をあげているが、あれは大学時代の作品の再掲なのでカウントしていない)

最初は1か月に3本作品を更新しようとしたが早々に無理だと悟り、現在は2か月に3本更新する形で落ち着いている。

作品が完成したら親しい友達に読んで!と押しつけることもあるが、大抵の場合、私の創作は自分のなかで完結してしまっている。
でも、せっかく第三者にも認識してもらえる形にしたのだと思うと、途端に勿体ないお化けが顔を出す。
だから誰にでも見てもらえる場所に置いておく。
宣伝も報告もせず、誰宛てでもないそれらは、海にボトルメールを投げる感覚に似ていた。

長らくそうやって広大な海にぽいぽいと作品を投げいれていたら、いつの間にか沢山のひとに見てもらっていた。
正直こんなに読んでもらえる日が来るとは思っていなかったから、かなり驚いている。通知がすごい…。
ちゃんとお礼の気持ちを伝えたいし、今年はちょうど丸1年創作を続けてきたしで、これを機会に2022年の作品を一部だけ、気に入っているものや印象深いものを振り返ってみようと思う。
よろしければお付き合いください。

ちょっとだけ長めの短編

『抱き寄せて、遠雷』

優秀な兄へ弟が向ける愛着の話。
1万字いかないくらいの、水気たっぷりの淡い水彩画みたいな短編。
どうやら読後感はひとによって違うらしい。いただいた感想の印象が全然違った。
じとっとした暑さ、迫る夕立の湿り気、幼い憧憬と情をそれなりによく表現できたのではないかと思っている。それから、桃を剥く描写がやたらと丁寧に書かれていて執念を感じる。
舞台設定を明治~大正時代にしたものだから時代考証で苦労した覚えが。フォークがあるのか、まだないのか、必死に調べた記憶が残っている。

『氷の王様、もしくは溶けない鏡の破片』

飼い猫を亡くした友人を実家まで送り届け、なんやかんやで葬儀まで見届けることになる話。
本当は6千字くらいに収めるつもりだったけれど、どんどん物語が長くなって最終的には1万5千字近くになった。計画性がない。
悲しさや寂しさが足元にゆるゆると揺蕩っているけれど、根本には優しさがあるような雰囲気になっているといいなあと思います。あったかい部屋で、あったかい飲み物でもお伴にして読んでほしい作品。
あ、でも、猫ちゃんが死ぬ話なので苦手な方はご注意ください。

noteに投稿した短編

『アダムとアダムと線香花火』

高校の先輩くんと後輩くんが、誰もいない浜辺で線香花火をする話。
note版と少し文章を直したステキブンゲイ版がある。(内容に変わりはないです)
作中のふたりはライターで花火に火をつけてるけど、危ないから本来は非推奨らしい。蝋燭がいいらしいですよ。
ふたりぼっちの男の子たちの話なので、もっとBLやブロマンスっぽくなるかなと思っていたけれど、完成してみたらそこまででもなかった。
7~8月にかけてnoteで更新した話は、この作品以外でも夏らしさをたくさん描けて楽しかった。

『人魚の卵』

冬の浜辺を散歩していた女の子が人魚の卵を見つけて、お姉さんと先生と一緒に海へ帰してあげる話。
マガジンの「#小説 記事まとめ」と「今日の注目記事」に追加していただけたおかげか、ちょっと今までにないくらいに閲覧、スキをしてもらえて完全に腰を抜かしました。
普段はどちらかというと上にあげたような、ひりひりしたり、仄暗い物語が多いけれど、この作品はとにかく優しい。ちょっとだけ寂しいかもしれないけど、出てくる人物全員優しい。そういう話です。
あと作品が生まれるきっかけになったのは、ネットでたまたま見かけたイカの卵の写真だったりする。透明な球体にはいったイカの赤ちゃんが可愛くて、綺麗で、印象に残っていたのです。

これからの話

今年は最後に思わぬ勢いでたくさんのひとに作品を楽しんでいただき、驚きと喜びとでいっぱいいっぱいの年になった。
『人魚の卵』は(スクショを取り損ねたので正確なとこを覚えていないのだけれど)「#短編小説」タグでも注目を集めた?スキを集めた?らしく、もうどこにどうお礼をすればいいのやら。

作品を読んでくださった方、スキをくださった方、フォローしてくださった方、マガジンに追加してくださった方、本当にありがとうございます。
コメントをくださった方、大切に読ませていただいています。
そして前から作品を読んでくださっていた方々、波間を漂う宛先のないボトルを拾い、読んでくださりありがとうございました。

こんなに楽しんでもらっておいて、普段はもっと薄暗い作風なものだから、今後また作品を楽しんでもらえるだろうかという不安がないと言ったら嘘になってしまう。
でも何だかんだ考えても、やっぱり私は自分の好きな作品を創り続けると思うので、気が向いたらまた覗いてもらえたら嬉しいです。
そしてその作品も面白いなって思ってもらえたら、楽しいですね、きっと。

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