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哲学・日記・メモ「貨幣の事あるいは物々交換の事」

貨幣の事あるいは物々交換の事

「貨幣においては、商品の一切の質的差異が消失するのであるが、同じように、貨幣の方でもまた、急進的平等主義者(レヴェラー)として、一切の差異を消滅させる(『資本論』)」 。

貨幣は質的差異に量的な基準を与え、差異を消失させる。そしてこの差異の消失は、等価交換という幻想を可能にする。交換は等価だから為されるのではない。むしろ等価であるならば交換は為されないだろうから。価値があるかどうかわからない、明らかに未知な、何ものかに向かうところにしか交換は生じない。これを他者に向けての交換と言っても良いし、交換を対話と言っても良い。等価で同質な交流には、差異は生じない故に交換はないし、対話もない。そして創造性も生じない。他者に向かう交換にのみ、創造性は宿る。この交換を等価交換に対して差異交換とでも呼んでみるならば、差異交換とは貨幣経済に対する創造経済と呼べるかもしれない。しかしそれはつまり・・・物々交換という事なのではないだろうか?

2024年6月


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