診療所がない地域に、ドローンで薬を配送。オートバックスが大分県で実証実験
大分県の南西部に位置する竹田市。
同市にある大久保病院のレポートによると、宮砥地区では1999年から診療所がない状況が続いている。宮砥地区の人口は591人、高齢化率が58%。毎日運行していた民間のバスは撤退し、週3日の市営バスが運行するのみ。移動が原因となり、医療サービスを享受するのが制限されているという。
オートバックスセブンは1月、この宮砥地区において、ドローンによる医薬品配送の実証実験を2月4日から開始すると発表した。
診療所がない宮砥地区では、40km離れた大久保病院が「出向く医療・介護・福祉サービスの展開」を掲げ、週に1度の訪問診療をおこなっている。訪問診療時には以前処方した医薬品を準備していくが、診療内容によっては、想定外の医薬品が必要になる場合があるそう。その際、即日での処方ができず、後日配送になるという時間ロスをなくすため、今回の取り組みが生まれた。
▲導入前は、準備した処方薬で対応できない場合、後日配送となっていた。
▲導入後のイメージ。必要な医薬品をすぐに配送できるようになる。
ドローンで即時配送が可能となれば、慢性症例以外の症状への対処時間を短縮でき、へき地医療への負担軽減にもつながると同社は考えている。
実証実験の第2フェーズでは、山間地域や島嶼部向けとして、120分以上・100km以上飛行できる産業用ドローンを使用し、実証を進める予定。2022年度の実用化を目指し、将来的には災害発生時への活用も検討するとした。
なお、オートバックスセブンは2019年3月に大分県と地域活性化に関する包括連携協定を締結し、地域活性化に関する8つの取り組みを行ってきた。今回の発表は、その1つである「介護福祉分野における移動支援・生活支援」における成果だ。同社100%子会社のエー・ディー・イーが主体となり、大久保病院やエアロジーラボなど7者の協力で実施する。
ドローンを活用した運搬は、各地域で実証実験が進められている。たとえば、千葉市では楽天などとドローンやロボットを活用した宅配実験を2018年10月に実施。北海道の当別町では、ブルーイノベーションが農作物の運搬に関する実証実験を2020年11月に行っている。特に人口が少ない地域こそ、ドローンや自動運転車などテクノロジーの活用はインパクトが大きいと考えられる(予算の問題などあるかもしれないが)。今後の動きに注目したい。
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