住民30人13世帯の集落で、ICTによる見守りを。京都府毛原でクラファン実施中
住民30人13世帯の小さな村が、京都府福知山市にあることを知った。
集落の名前は「毛原(けはら)」。Google MAPで調べると、京都駅から車で2時間ほどの距離にある。1999年には「日本の棚田百選」に選ばれるほど、600枚以上の棚田があり、自然豊かな風景が広がっているという。
そんな毛原で、新たな試みが行われようとしている。クラウドファンディングサイト「Readyfor」でプロジェクトの存在を知り、自分でも支援をしたのだが、ステキな取り組みだと思ったのでここでも紹介したい。
プロジェクトを実行する毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクトが始める実証実験は、ICTを活用して住民同士が見守り活動を行うというものだ。
スマートスピーカーを全世帯に設置し、Web上に地域専用のカレンダーを作成。行事やゴミ出しなどの予定の共有、困りごとやお手伝いが必要な時のマッチングを音声のみで行う。スマートフォンなどの機器を扱うことなく、話しかけるだけで済むため、高齢者でも使い方に困らないという。
また、LEDの点灯回数を検知する見守り用の電球「ハローライト」や、発信機能が付いた湯沸かしポットも設置。住民同士のコミュニケーションを促進させ、お互いを見守りあえる環境整備の実現を目指す。
プロジェクトページによると、住民同士の「共助の力」はもともと強かったが、住民の平均年齢が60歳以上になったことから、以前のように元気に外出ができなくなってきているという。新型コロナ感染拡大により、接触機会が減少したことからも、少しずつ住民同士の関わりが希薄化していた。
そこで、2020年にはスマートスピーカー4台を協力してくれた家庭に1カ月間設置し、持っている住民同士で交流してもらうという実験を行ったそう。その結果、「行事の当番が誰なのか」「今日は何のゴミの日か」「手の空いている人はいるか」などをすぐ調べられるようになったのに加えて、「操作が簡単で、なにより面白い」という感想も届いたという。災害時や健康づくりなどの可能性が期待できるとし、今回のプロジェクト実施となった。
今回の実証実験を行った後には、同じ課題に悩む他地域にもノウハウを普及させ、共助によるコミュニティの輪を広げたいと考えている。
見守りに関連した実証実験は大手企業や自治体を中心にリリースで見たことは何度かあるが、住民同士が主体となって進めるのは珍しいと思い、今回ピックアップさせていただいた。クラウドファンディングは残り5日(1月14日現在)で、目標達成まであと12万円ほど。リターンの棚田で育ったお米や特産品も魅力的なので、ぜひ一度見てみてもらえると嬉しい。
(写真提供:毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクト)
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