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No.989 魔法の言葉?

カミさんが1週間ほど上京しています。そこは、品行方正な僕なので、
「居ないとき妻の枕を尻に敷く」
2019年「第19回シルバー川柳」(男性・埼玉県・69歳)の真似をするようなことはなく、(変に言い訳するところが、却って怪しいか?)きちんと留守番をしている好々爺です。
 
そうだ、「ひとりオランダ」作ろう!
そうひらめいた私は、昨日、色濃くなり、皮が固くなったゴーヤーを2本、ナスを2本買ってきて、オフクロ直伝の「オランダ」(大分の伝統料理で「こねり」とも)を作りを始めました。今日の画像は、その完成品です。
 
ゴーヤーは縦に半分に切って、中のワタと種を取り除き、3㎜~5㎜幅で半月状に切りました。ナスは乱切りにして油が沁むようにしました。少し多めの油をフライパンに引いて、ナスとゴーヤーを一気に炒めます。良く炒めたら、少し贅沢にイリコとシイタケとカツオでとった出汁を入れ、豚肉まで投入して、ひと煮立ちさせます。そこに小麦粉をよく溶いてとろみをつけてゆきます。良い具合にとろみがついたら、塩と醤油で味付けします。
 
今年初めての「オランダ」です。大きいスプーンですくって、口の中へダイブさせました。「うめーっ!」(美味い!)と大きく「おらんだ」(大分弁で大声を上げる)なら良かったのですが…ん?・ん??・ん???
 
何か、子供の頃のお袋の味と違うんです。キレがないと言うか、うま味が足りないと言うか、大声を張り上げたくなるほどではないというか、なんというか…。
 
シイタケとカツオで出汁味をプラスしたり、豚肉を入れて味のアップをはかったりして、「美味しさ倍増計画」のもと、鍋と腕を振るったのでしたが、結果は「イマイチ」で、中の中の下の上の中レベルの出来でした。味に色気を出そうとしたのが、裏目に出ました。
 
欲の無いのは「よくない」わけですが、欲を出し過ぎてもいけません。「舌切り雀」のお返しに「重いつづら」と「軽いつづら」のどちらを選ぶかと問われた時、私は「重いつづら」を選んでしまうタイプなのかな?と考えてしまいました。何事にも「シンプル・イズ・ベスト」とは思いませんが、あれこれ手を加えて、かえって自慢のお袋の味を台無しにしてしまったようです。
 
そんなことを思っていたら、急に母の声が脳裏に浮かびました。
「ほらみちょみよ!あんた、人ん話を身を入れち聞かんき、そげなこつになるんじゃわ」
(訳…ほら見てごらん。お前は、人の話を真剣に聞かないから、そんなことになるのよ)
幾つになっても、性格というものは、変わらないものなのでしょうか?
 
そういえば、お袋が、こんなことも言って笑わせていたことも思い出しました。
「あんた、最後に鍋ん蓋を取っち『愛情っ!』ち言いよるかえ?」
私は、その言葉をかけることも忘れていました。