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No.901 逃げるは恥だが役に立つ

 30年前の7月14日の放課後は、大雨になりました。バイクで通勤している私ですが、雨具の用意をしていませんでした。雨の間隙を縫って帰宅するつもりで学校を後にしたのでしたが、その心底を見透かされたかのようなドシャ降りに見舞われ、全身濡れネズミ状態になって家に帰り着きました。
 その帰宅途中で、傘もなく走って帰ってゆく生徒たちを見かけましたが、風邪をひかねば良いがと思いながら通り過ぎるしかありませんでした。
 ずぶ濡れの私に気づいた息子が、すぐにタオルケットを出してくれたり、眼鏡を拭いてくれたりしました。この感動に出会わせるための大雨だったのかなと思いました。
 雨に濡れるのは体温を取られることだと思い知りました。北海道を襲った地震により津波の災害に遭われた人々の心と体の冷たさが思われました。

学級通信のコラムより

1993年7月15日の毎日学級通信のコラムには、そのようなことが書いてありました。その3日前の7月12日の午後10時17分に、北海道奥尻郡奥尻町沖でマグニチュード7,8、推定震度6の烈震が発生しました。それどころか、その5分後に津波が襲ってきたのです。震源からの津波の直撃を受けた奥尻島の西側では、最大遡上高31.7 mを記録したといいます。情報も警報も間に合わないくらいの津波の速さで住民は逃げきれたのでしょうか?
 
「北海道南西沖地震」に関するウィキペディアの記事(一部抄出)に、以下のようにありました。

地震発生時に住民の88.7 %は自宅におり、その半数が地震発生直後に迅速に自主的に高台避難したことも解っており、これは日本海中部地震(1983年5月26日11時59分に発生した秋田県能代沖地震。M7,7)の経験が活かされたものと推測されている。また、奥尻町においては住民の約8割が緊急的に自主避難し、うち23 %は地震の最中に既に避難を開始したことも判明している。自主避難者らの平均避難時間は地震の5.3分後で、地震発生時刻が深夜だったことを考慮すると極めて短時間で避難開始が行われたことが分かる。

Wikipediaより

情報や警報を待たず、昼夜を分かたず、すぐに非難することがいかに肝要であるかを教えられる記事です。「三十六計逃げるに如かず」とか言いますが、まさに、そのことを改めて認識した次第です。

「逃げ恥じ」と略称され、親しまれたTBSの火曜ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)は、新垣結衣・星野源主演でドラマ化された人気漫画のタイトルです。意外にも題名は、ハンガリーのことわざに拠っているそうで、「問題と向き合わず逃げることは普通に考えると恥ずかしいことだが、逆にそれが最善の解決策になることがある」という意味で使われているそうです。そこには、真理があるように思います。

その漫画の作者は、海野つなみさん。偶然に違いないのですが、不思議なめぐりあわせを感じてしまうのです。


※画像は、クリエイター・パーリーメイ | Purleymayさんの、「タイのビーチで見かけた避難勧告の看板」の1葉をかたじけなくしました。視覚に訴える、分かり易い看板ですね。お礼を申し上げます。