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No.904 ある生徒たちとの邂逅い

1985年(昭和60年)に自由の森学園中学校・高等学校(埼玉県飯能市)か開校されました。長く学校教育を支配していた「点数序列主義」や「管理主義」の体制を批判した知識人や学者たちが「点数による生徒の序列化を行わない」教育を理念として掲げた学校だそうです。菅原文太さんが1991年~1992年まで理事長だった学園でもあります。
 
開校から10年目の1995年(平成7年)8月21日のこと、自由の森学園中学・高校生による「日本の民俗芸能公演」が、我が故郷山香町の小学校で行われました。彼らにとって、公演修行地方行脚の企画だったのでしょうか。夏休みだったお陰で、大分市から駆けつけることが出来ました。
1.秩父屋台囃子
2.中野七頭舞
3.岩崎鬼剣舞
4.荒馬踊り
5.ぶち合せ太鼓
の演目を総勢25人の生徒たちが見事に踊りわけ演奏しました。熱演でした。
 
勇壮にして華麗、迫力があって形もしっかり決まり、躍動美があり演技力がありました。創立10年目にして、早くも先輩から後輩へと受け継がれた伝統芸能への飽くなき鍛錬が、ステージで結実しているようでした。それは、又、指導者の情熱のようにも思われました。
 
私は、生徒たちの協調と融和が織りなす日本の芸能の世界に惹き込まれ、あまりの感動に涙をこぼしてしまいました。十代の若い力を集結して、一途に徹し、みんなで創り上げることの素晴らしさは、人を興奮させるに十分な力を持っていました。並の努力では到底かなわぬことを、彼らは平然とやってのけました。猛練習のたまものでしょう。
 
公演の最後に、代表の生徒があいさつをしてくれました。
「私たちは、日本人が誇りにしているこの伝統芸能を大切にしています。残し、伝えてくれたものは、素敵です!」
その一言に、会場は大きな拍手で包まれました。はにかむ様子までカッコいい集団でした。
 
私は、この時42歳でした。不惑の年齢を超えながら、惑い悩んでばかりの人生です。彼らの一途な心が我が胸を熱くし、明日への一歩を軽やかに踏み出す力を与えてくれました。帰りの車の中で
「スカッと青春!」
の言葉が思い浮かびました。
 
「青春の真っ只中や鮎跳ねる」
 中村信吾


※トップ画像は、クリエイター・きよひこさんの、タイトル「原宿表参道元氣祭 スーパーよさこい」の1葉をかたじけなくしました。ここでも青春が飛び跳ねていました。お礼を申し上げます。