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No.908 心待たれる季節は、いつ?

もう2か月も前のお話です。NHK総合の「あさイチ」という番組で「知りたい!認知症最新情報」という興味深い話題が取りあげられました。

エーザイと米バイオジェンが共同開発した「レカネマブ(商品名レケンビ)」というアルツハイマー病新薬について、米当局から完全承認が得られ次第、「メディケア」(高齢者・障害者向け医療保険制度)の適用対象になると、米当局が明らかにした。
レカネマブは、アルツハイマー病患者の脳内に沈着したアミロイドベータと呼ばれる有毒タンパク質を除去する新しいクラスの医薬品で、その先駆けの一つ。1月に米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得し、現在は完全承認に向けた審査中だ。米当局の完全承認を要件とする方針ゆえに、レカネマブは現在、メディケアの対象となっていない。
              「会社四季報」(2023年6月2日)参照

その認知症の新薬「レカネマブ」は、認知症の6割を占めるアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが増える症状を(1.2%程度?個人差あり)遅らせる効果があると言われています。
 
ところが、現在、アメリカでは年間2万6,500ドル(およそ350万円)もの費用がかかります。しかも、治す薬ではなく進行を遅らせる薬ですので、使い続ける必要があります。2週間に1回「点滴投与」を続けねばならないという大きな負担もあるそうです。お金持ちでなければ、到底払える金額ではありません。病気も命も金次第という事でしょうか?
 
アメリカの高齢者および障害者向けの公的医療機関「メディケア」の適用対象になれば、加入者の自己負担額は1日あたり14.5ドル(約2,000円?)になると推定されています。一縷の望みを託すことが出来るのは、この保険制度の適用です。もちろん、日本で承認されるのが何時のことになるのか、又、いくら費用がかかるのか、全く不透明なままです。
 
認知症の今日の状況を思えば、世界中から望まれる「レカネマブ」でしょう。先の「会社 四季報」に、アメリカでは、6月9日にFDAの諮問委員会が予定されており、7月の完全承認につながる可能性があるとの希望的観測情報もありました。
 
総務省統計局から発表された2022年9月現在の高齢者人口は3,627万人、高齢者人口率は29.1%となりました。これをもとにすれば、2025年には5人に1人、20%が認知症になるという推計から、3,627万人✕0,2=725,4万人もの認知症患者数となる可能性を示唆しています。

ことほどさように大きな社会問題となっている現実を踏まえ、医療行政は、後れを取るのではなく、先手を打つことも必要ではないかと思う次第です。
 
心待たれる新薬承認の季節は、いつ?


※画像は、クリエイター・スナフさんの、タイトル「未来は明るいと信じてる。」をかたじけなくしました。この1枚には「希望」がこめられており、清々しさが感じられます。