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IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #5 ー 邪神・言った言わんの馬鹿(じゃしん・いったいわんのばか)編

(一)  そうこうしているうちに、なんだかんだで、年が明けてしまった。 『躁霊・徹夜囃子』を撃退した後、二体ほどBランクのIT妖怪の相手をしたが、年末年始ともなると、さしもの妖怪ばらも活動を休止するようで、特にスクランブルが掛かることもなく、のんびり休暇を取ることができた剛である。  ただ、帰省もせず、恋人に一番近い存在である城富美子とは相変わらずの状態で、混雑する元日、二日は避けて神田明神へ初詣に出向き、『邪神・言った言わんの馬鹿』打倒を誓った以外は、家で食っちゃ寝、食っ

    • IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #4 ー 躁霊・徹夜囃子(そうれい・てつやばやし)編

      (一) 「いやあ。休日出勤、まことに恐縮です」  土曜日。剛がゼロ課の事務所に到着したのは、午前九時をわずかに回ったころだったが、既に装社実は出勤していた。先日の電話では十時という約束であったが、いつも剛が朝早く出勤する習慣であることに思い当たり、待たせてはならじと装社実は早めに出てきたのだ。 「薬師神さんには特に、休日返上で頑張っていただいておりますので、かなり心配なのです」 「体力的なことなら、ご心配には及びません」 「そうではありません。仕事に対する不満が蓄積してやし

      • IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #3 ー 魔画像・壊裂咤絵(まがぞう・こわれちゃえ)編

        (一) みのんの悪あがき アラサー独身彼氏なしの喪女が一念発起、 BL作家を目指して奮闘中です。 BLに興味のない方は閲覧ご遠慮ください。 ■プロフィール Author:みのん ■最新記事 間に合わず 間に合わず 202X-07-31 23:49:07 間に合わなかった。 この場で、「絶対間に合わせてやる」って宣言してたのに ほかでもない、ボビイさま小説新人賞の応募〆切 もう最低だ 自分で自分のふがいなさがイヤになる そして、仕事のこととか、人生とか、

        • IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #2 ー 悪霊・黙示録大佐(あくりょう・もくしろくたいさ)編

          (一) 「おはよう。薬師神さん」  システムゼロ課配属の翌日から日課になった早朝トレーニングを終えて、シミュレーションルームから事務所に戻ると、珍しく装社実が出社してきており、剛に挨拶を寄越してきた。 「あっ、おはようございます」  壁掛け時計を見るとまだ九時前だ。装社実は、システムゼロ課の責任者なので、さすがに午後にはならないが、通常、出社は十時前後なのだ。袴田端正も、事務所と同じフロアーの倉庫に寝泊まりしているにもかかわらず、出社は十一時から十二時の間だ。しかも、週に二

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          IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #1 ー IT妖怪ハンター・薬師神剛(やくしじん・つよし)誕生編

          (一) 「だめだ! やっぱり全然集中できやしない」  ビデオゲーム画面の中の自機が盛大に弾け飛ぶのを呆然と眺めながら、しみじみと呟いた男の名前は、薬師神剛(やくしじん・つよし)。彼がいるのは、JR秋葉原駅から徒歩三分の八階建て巨大ゲームセンター。その上階にある、ちょっと古めの名作ゲーム筐体が並ぶフロアだ。時刻は午前十一時をわずかに過ぎた頃合いである。  剛は年齢二十六歳。職業会社員。職種はシステムエンジニアであった。“あった”と過去形なのは、彼が本日、足掛け四年間勤めてきた

          IT妖怪図鑑 - こちら特命システムゼロ課 #1 ー IT妖怪ハンター・薬師神剛(やくしじん・つよし)誕生編