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「Change the Show!」を心に刻む。

推し活noteの方で書いてた、昨年の舞台観劇の話を『もっと私らしく』書き直してもいいかなぁという感じで書く。


話は2023年の夏まで遡る。当時の私は絶望的に病んでいた。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のために必死に生きた跳ね返りだった。
人生をかけて楽しみにしていたゲームをクリアし、手元には何も残っていなかった。寄りかかり続けた生きがいが消えた。


だが、全てを失い途方にくれていた私を運命は見放さなかった。松重豊さんに惚れたのである。
昨年の大河ドラマ『どうする家康』で演じた石川数正役がかっこよかったことに加え、『孤独のグルメ』の再放送に生かされていた。

ここでまた探究心が疼く。松重さんの事務所ってどこだっけ。
調べたら『ザズウ』という事務所が出てきた。事務所については別記事に書いた通りである。


知らない事務所名に、他に誰が所属してるのかと気になり。サイトを開いたところに彼はいた。
現在、推しの頂点に君臨している森下能幸さんである。
蘇る。昔、まだ子供の頃に夜更かしして見たヒトコワショートドラマの記憶。
主人公の男性(同じ事務所の眞島秀和さんだった)に執着し追い抜こうとして交通事故に遭う不気味な男。
特に怖くはないが不気味でずっと記憶の片隅にいた、あの人がいる。
ちょっと不思議な流れで再会を果たした。


「忘れられなかった」は「好きだ」へゆっくり姿を変えて、私の認知にへばりつき始めた。
『ミステリという勿れ』の再放送なども手伝った。
もっと森下さんを知らねば。YouTubeを漁ると『相席食堂』の予告動画があった。
初めて動画配信サービスに手を出した。
そこで素の森下能幸さんを知り、現在に至る。

知れば知るほど好きになり、会いたくなる。
だが、歌手のように定期的にライブがあるとかそういうジャンルの人じゃない。
どうしたものかと迷う私に、また運命が気まぐれを起こした。
『OUT OF ORDER』というマギーさん脚本の舞台が12月に東京であるという。そこに森下さんが出演することになっていた。
そんなの・・・行くしかない!!!


色んな人に助けていただき、2公演分のチケットを手に入れた。つまり、2回も森下さんに生で会えるってことになった。トントン拍子すぎてちょっと引いた。

人生初めての舞台観劇は緊張した。
『舞台』と言うと格式高いイメージがあって。ちょっとでも粗相をすれば、会場中から総スカンの上つまみ出されると思っていた。
実際はそんなことはなく、ずーっと気軽。
音とか頭を動かしたりとかは少し気をつけた方がいいこともあるけど、映画館でのマナー+‪αくらいに捉えれば良い。
今回はコメディだから、なおさらだった。
強いて言うなら、格式高いのはチケット代。意気込んでS席を選んだから、より格式高い料金になった。


しかし、それだけの価値が間違いなくあった。2公演ともなかなかの近さで、推しを視界に入れ続けられたのだから。
2回目の方が視界が開け、演者の歯並びまで肉眼で見えるほどの素晴らしい景色だった。


それでも何でも思い出に残るのは1回目だ。
私は初めて、目の前で確かに存在した森下さんに感覚を奪われたことを忘れない。
当日まで、様々な作品で聞いた声とその顔が私と同じ場所に在るのだ。
人は本当に驚くと息を飲むし、目を見開く。
最初に森下さんから聞こえたのは、セリフを言う前にひと息吸った呼吸音だった。


後に私はその日のことを思い出して

初めて聞いた呼吸音を
私の耳に閉じ込めておきたい。

初対面の推しに捧げる短歌

など、既に誰かが思いついててもおかしくない短歌まで詠んでしまった。
(一応調べたのですが、本当に既出だったらすみません)


舞台は、映像作品とは違うのだと感じた。
初めて俳優さんとして活躍している人達の演技を生で見たが、そのエネルギーは凄まじかった。
プロフェッショナルとはこんなに人を魅了するのだと知った。
特に主演の中村倫也さんは抜群だった。飄々とした印象の彼が、トムとジェリー並にドタバタしていたのだから。

また、映像では作り手が見せたい部分をカメラで切り抜いて見せるが、舞台は自分が見たいところをどこでも見られる。
『誰かがセリフを言ってる時、他の人は何をしてるのか』そんな姿を見ることが出来るのだ。
中村さんが転げ回ってる時、共演しているユースケ・サンタマリアさんや山口紗弥加さんなど、舞台上の他の誰かが何をしているのか。
そんな見方も面白かった。
舞台という表現の特徴的な部分だと思った。


この舞台の核となる言葉「Change the Show!」
「行動すれば変わる、変えられる」とセリフは続く。

生きがいもなく絶望の淵にいた私は、人を好きになり、記憶の中の人と偶然の再会を果たし。
十数年の時を経て「好意」に昇格した人に、様々な人を介して会った。
『行動すれば変わる』というのは、あながち間違いでは無い。おかげ様で私は生きている。
2023年の夏から冬を過ごした私の経験からそう思う。

今年はまずは半歩でもいいから、気が向いた方へと行動してみたい。
その半歩で世界は大きく変わるかもしれない。

愛するウェイター ハロルドさん

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