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85.三題噺「道徳、集中砲火、無愛想」

 僕とマカロンくんは、夏休みだけれど生徒会の活動で地域のゴミ拾いをしていた。

 普段綺麗だと思っている景色も、視点を変えるだけで意外とゴミが落ちている。

「なあ、最近どうだ?」

 またひとつ落ちているゴミを拾うと、隣にいるマカロンくんが声をかけてきた。

「どうだ、って……何が?」

「そりゃ、聞かなくてもわかるだろ」

 僕とマカロンくんは幼馴染だから、空気感で僕の恋愛事情についての質問だと分かった。

「みんなとは、特に何もないよ。遊んだり会ったりしてるけど……」

「みんな……なんだな」

「正直、自分の気持ちに驚いてる。初めは先輩だけだったけど、同クラさんと後輩ちゃんのことも大切な人だと思ってるんだからさ」

「青春してていいじゃないか。道徳とか倫理的な問題はあるかもしれないが、俺はたくさん悩んだ上で出した結論なら、どんな形になっても応援する」

「マカロンくんは先生とどうなの? 僕だってマカロンくんの恋を応援してるんだよ?」

「……」

 マカロンくんは無言になって、急に無愛想になった。でも、僕には分かる。

 これは何かあった時に誤魔化す反応だ。

「もしかして、夏休みに先生と会った?」

「……ああ」

「何したの? 何したの?」

 僕は脇腹をツンツンして揶揄う。

「お前、ノリが似てきたな」

「え、なんのこと?」

「気づいてないならいい……」

 マカロンくんは観念したと諦めた。

「先生とは映画を見に行ったよ。今度二人で映画鑑賞会をする約束もしている」

「すごいじゃん!」

「ただなぁ……。歳の差のせいか一人の男性と見られてない気がするんだよ」

「マカロンくんも大変だね」

「ああ……」

 僕とマカロンくんは空を見上げ、晴天の下、ため息をついた。

「恋って……」

「難しいな……」

 僕たちの抱えている恋は、一筋縄じゃいかないらしい。

「お前は3人の女の子を特別に思ってるんだ。拗らせて非難の集中砲火にあって刺される、みたいにならないよう気をつけろよ?」

「マカロンくんは分かってる? 先生と生徒の恋愛は荊の道だからね?」

「言うじゃないか」

「マカロンくんこそ」

 僕たちは笑い合い、またゴミ拾いに精を出した。

「夏休みに、何か俺たちの恋に進展があるような出来事があればいいのにな」

 マカロンくんの呟きに僕は激しく同意した。




作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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