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147.三題噺「四角形、マッサージ、注意書き」

「あ、あのさ。今から時間あるかな?」

 昼休み、同クラさんから声をかけられた。

「どうしたの?」

「い、一緒にお昼を食べたいなって思って……。ダメ、かな?」

 特に断るつもりもなかったから、僕は同クラさんとお昼を食べることにした。

 中庭のベンチに座り、同クラさんは魅力的な色とりどりのおかずが詰められている小さな四角形の弁当箱をひろげた。

「お、おいしそう……」

 思わず喉がごくりと鳴った。
 僕の手元にあるコンビニのパンが霞んだ。
 僕は手作り料理に飢えてるのかもしれない。

 視線から考えていることが伝わってしまったのか、同クラさんがアスパラの豚肉巻きを僕の口に運んでくれた。

「い、いいの……?」

 僕の問いに、ちょっと恥ずかしそうに同クラさんは頷いた。
 僕はそれを欲望のままに貪り食らう。

「ほんとうに美味しい。感激だよ」

「美味しそうに食べてくれて嬉しい」

 そんなやりとりをしながら、楽しいご飯の時間は過ぎ去った。

 お弁当箱を片付けて同クラさんは大きく伸びをする。

「最近、肩こりがひどいんだよね……」

 同クラさんは本当に苦しそうの自分の左右の肩を揉んで首を回した。

 何がとは言わないけど大きいと大変だって聞いたことがあるし、同クラさんは本好きの文学少女だ。
 目の疲労からくる凝りもあるのかもしれない。

「お裾分けのお礼に、マッサージさせてよ」

「えっと、じゃあ……。お願いします」

 僕は丹精込めて全力でマッサージした。

 座ってぼーっとしていると、ふと肩に重さを感じ、ふわっと女の子のいい匂いがした。

 肩に同クラさんの頭が乗っかってる。

 食後の眠気とマッサージの気持ちよさで眠くなったのかもしれない。

 校舎から丸見えだけど、起こすのも悪いから、僕は身動きひとつできなかった。

 チャイムが鳴るギリギリに起きてくれたからよかった。

「ご、ごめんね? 重かったよね?」

「ううん。大丈夫だよ」

 一緒に教室まで帰ってくると、僕の机に何か張り紙が貼られていた。

「これは……。注意書き?」

『校内でのイチャイチャはほどほどに(です)!』と書かれていた。

 筆跡を見るに、先輩……?
 いや、後輩ちゃんの文字もあるな。

「誰から?」

「たぶん、先輩と後輩ちゃんのふたりかな」

 見事に1文字ずつ交互に書いているみたいだ。変なところに手が込んでいる。

 僕と同クラさんは過激な行動に苦笑いした。




作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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