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192.三題噺「露天風呂、縫い糸、取り寄せ」

 今日から修学旅行。

 旅行先は海外の案もあったらしいけど、国内になった。
 その分宿泊するところにお金がかかっているようだ。

 今日は移動と歴史的建造物を巡る一日だったから、疲れを癒すために僕はゆっくり露天風呂を堪能した。

 夕飯もとてもおいしかった。
 家族にも食べて欲しいし、取り寄せするのもアリかもしれない。

 知らない土地の夜。
 体が緊張しているのか、僕は眠ることができなかった。

「あれ、同クラさん?」

 僕がこっそり部屋を出ると、同クラさんと出会った。

 お風呂上がりなのか浴衣を着ている。
 湯上がりでほってった頬を見て、僕の心臓が高鳴った。

「……お風呂上がり?」

 分かりきったことを聞いてしまった。

「うん。落ち着いてひとりで入りたかったから、みんなとは時間をずらしたの」

 同クラさんは慣れない浴衣姿を見られるのが恥ずかしいのか、お腹の前で指をいじっている。

「ゆ、浴衣、似合ってるね。……か、かっこいいよ」

「あ、ありがとう。同クラさんも、その……可愛いよ」

 お互いのやり取りに二人して顔を赤くして俯く。

 僕は恥じらいを誤魔化すように頬をかいた。
 なんというか、空間が甘い。

「君は、どうしたの……?」

「眠れなくて、散歩しようかなって……。よかったら同クラさんも一緒にどう?」

「うん。ご一緒しようかな」

 同クラさんが荷物を置きにいってから、僕たちは旅館の周りを散歩する。

 月明かりに照らされた同クラさんの横顔は色っぽい。

 静まり返った夜の中、カー、とカラスが鳴いた。

「ひゃっ!」

 同クラさんがびっくりして僕に抱きついてきた。
 妙に柔らかいものが腕を包む。

 え、もしかしてつけてない?

 流石にまずいだろう。僕は色々と心配する。

「ご、ごめんね。驚いちゃって……」

 呼吸を整えた同クラさんは僕から離れた。

「あれ? どうしたの?」

 流石につけてないの、なんて聞けない。

「もしかして……」

 何かを察した同クラさんは浴衣をはだけて肩の部分を見せてきた。

「ちゃんと着てるから大丈夫、だよ……?」

 恥じらいながらちゃんと着ていることを見せてくれた。
 縫い糸とかがないハーフトップだったみたいだ。

 こんな確認をしてすみません。同クラさん。



作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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