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ぽいずんカー




どんな時も自分でいるとは少し、

いや、かなりの"自分"が必要である気がするのです。



最近急激に寒くなった。

寒過ぎて下痢をしている事だけが
いや、そんなことばかりが
頭の中を駆け巡りながら
今だけはどうか、
どうか大丈夫であれと
ソワソワハラハラを心に残して
何事もないような顔でデートに向かうことのできる人間です。


そんな事を隠してしまうから
待ちに待った豊洲の海鮮丼を
無念にも食べきれず更に腹を壊すことにはなるのですが。



ただ、

そんな日々ではあるけれど


主張の強めのひとには
はい、と

ネガティブなひとには
そうだね、と

マウント取りには
なるほどね、と

腹ん中では、
うるせぇクソ野郎と目を見て伝えている。

まぁ悶々とすることはそりゃ
たくさんあるけれど


今の気持ちは一旦心のタンスに置いて
ひとまず、
正面から来たものたちには
胸を丸めて
来た衝撃を背中で受け止めるように
ぐにゃーんと圧倒的な受け身をとる。

まるで大打撃を受けたかのように。


そうするとあら不思議。

そいつらの話なんてたいして聞いてもいないのに
いつのまにかそいつらからは
理解できる子
思いやりのある子
読解力のある子
空気の読める子
そして
優しい子

といわれた。

自称。

いや、自分で決めたわけじゃないから

他称といえばいいのだろうか。

他人はそれを八方美人といい、
ほうべんたれともいうのかもしれない。
大嘘つきともいうのかもしれない。







まぁ、何だっていい。
















とはいえ、








きっと曲げられないものに
反発する気持ちを
あっさり簡単に
いや、それはこーです!
君の言う事は間違ってる!

なんて反論することよりも







あ、そうなんだね。



なんて


あっさり気持ちを解体して
すんなり考えを折り曲げてしまえるほうが

割と大きめの根気がいる気がするのです。



それを小心者というのだろうけど

たかが小心者なのだけれど

されど。

どれもこれも八方の全てにおいて
ブスじゃないんだから。


また新しいかたちになって

どんどん変化して

もういっそのこと、
自分らしさとは
真逆の方角に向かって一周してしまえば

一周回った頃には
もうそれが嘘でもなくなって
それすらも"自分の色"になっている

いや、そうあってほしい。


少なからず、私の心はそうやって
他人の意見に
ユラユラ揺られながら
あっちこっちに流れていきながら
全くもって
微動だにしていない気持ちを
再確認している。




はなから嘘などついていない






自分自身には。

そう思っている







私が一体なにを言っているのかは
私自身が、

もう3周ほど地球を回って見なければ
分からないのだけれど。




兎にも角にも、

"争い"は

そうだったんだね

って

お互いに言えなければ

一生終わらないのだと思うのです。




自分も社会も世界も。


















それを思い知ったあの日。
私はまだ田舎にいた。

車で走行中だった。


前を走るのはイタめのワゴンR。


一昔前の平成初期に現れた、

車高低めマフラー改造
フロントガラスにピンクの羽羽
ミラーの真ん中にドリームキャッチャー
後部座席にはこちらを向いたぬいぐるみたち。
バックのガラスにはベビーが乗っていますという暗示シール






私はこれに一体何を学べばいいのであろうか






あぁ、すごく不愉快である。







きっと信号が変わるちょっと前に
キティーちゃんの健康サンダルでアクセルを深く踏むはずだ。












こちらを向いてニコニコ微笑む
ぬいぐるみたちの
本性さえ疑ってしまえる。



異様な程の威圧感に苛まれるのは何故だ。

なんとも腹立たしい。






























ニコニコ微笑むぬいぐるみたち





















あの子たちは
ここで生涯を終えるのであろうか


なんて勿体無い人生だ













可哀想に。


































こっちをみて笑っている











なんで笑えるのだろう










こんなイタイ車に乗せられて
悔しくないのだろうか。












泣いてもいいのに。












いや、違う。

天寿を全うしているのだ


















それがどこであれ
貫いているのだ

自分というものを。








そこが彼らの夢の国なのだ

有無をいわず
ただもこねず


正に置かれた場所で咲いている
そんな花のようだった


























はなから嘘などついていなかった

自分自身には何ひとつ。


この車が、マウント取り上司の
奥様の車であれと
何度願っただろう。

oki

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