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2/13 【ミャンマーへの米制裁】

【要点】

・バイデン米政権は11日にミャンマーに対する制裁を発表した。しかし、制裁の対象はクーデターを起こした国軍および国軍と緊密な3社(宝石業)に絞ったものとなった。

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(画像は記事から引用)

制裁の内容は以上の画像の通りである。あくまで国軍(=クーデター後の政権)にのみ制裁を加え、市民・民間企業には制裁を加えなかった。しかし、それでも効果は大きいとみられている。ミャンマー政府は米国に持つ資金10億ドル(約1050億円)以上を所有しており、資金源へのアクセスを制限したことは、ミャンマーの軍政以降の障害になりえる。

しかし、このように対象を絞った理由は何であろうか。その要因の一つとして中国の存在があげられる。制裁を重くしすぎることで中国への依存度が高まってしまう恐れがある。そうなると、東南アジアにおいて影響力拡大を目指す中国にとって、格好の的となる。

「バイデン政権はミャンマーの軍政回帰を阻止するため、同盟国や友好国と連携して国際包囲網をつくりたい考えだ。」(引用)アメリカ以外にも、EUも制裁を検討している。

【感想】

・この情勢が依然として続くならば、アメリカは制裁を加え続けると予想される。新大統領のバイデン氏は、トランプ前大統領の反省も踏まえ、民主主義・人権問題を非常に重視する傾向がある。直近の米中首脳電話協議でも人権問題(台湾や香港・ウイグルなど)については譲れない姿勢を示していた。

・非常に懸念すべき点は中国がいかに介入するかだ。クーデターはある種国内の混乱状態を示すものである。つまり、諸外国にとっては影響力を行使しやすい状況でもあるのだ。地理的にも近い中国が積極的な介入を行うことにより、最悪の場合中国とアメリカの代理戦争的な様相を呈す恐れもある。バイデン氏の慎重な制裁は、ミャンマーが混乱状態である今はベターな選択だったと思う。

・ミャンマーでも市民運動が活発化している。そもそもこの国軍は以前の総選挙でも大敗を喫するほどの不人気ぶりだ。軍事政権の記憶が新しいミャンマー市民からも到底受け入れられないクーデターなのであろう。公務員までも抗議している今、ミャンマーはどのような形で混乱を抜け出していくのだろうか?


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