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2/18 【通知行政】

【要点】

政府の新型コロナウイルス対応において「通知行政」の課題が浮上してきた。「厚生労働省が発出したコロナ関連の通知は1年間で900件超にのぼる。受け取る地方自治体や医療機関が対応しきれず、現場の混乱要因になりかねない。」(以上引用)

そもそも、行政における「通知」とはなにか。記事では以下のように説明されている。(以下引用)

通知は行政機関が作成する文書の一つで、都道府県や市町村にメールなどで送付する。地方自治法に基づく「技術的助言」という位置づけで、国会での手続きを経ずに各省庁の判断で出すことができる。

つまり、政府と自治体の間で行われる情報共有のようなものである。そのため、法的拘束力は全く生じない。

しかし、通知は政府から自治体への一方向的な側面がある。つまり今回の厚労省の通知の多さは、自治体にとっては情報過多になっているのだ。

通知は自治体を通じて関係機関に共有される。しかし、これほどの多くの通知がなされるとなると、それらがきちんと行き届いているのかがわからない。またそれらが実行に移されているのかも曖昧だ。

また、「通知」の立ち位置が自治体を困らせることも指摘されている。記事には以下のような指摘がある。(以下引用)

民間臨調の報告書作成に携わった東大の鈴木一人教授は「通知に書いてあることが絶対的な基準なのか、指示なのか、単なる目安なのかが分かりにくい。緊急時の連絡はコロナ対応を定めた特別措置法に基づく『命令』に引き上げるなどの検討が必要だ」と提起する。

緊急時は多くの情報の共有が必要になってくる。このようなときに必要な情報が政府・自治体間で共有される行政のしくみづくりが必要であろう。

【感想】

・通知の単方向性が問題となっている。(実態をたしかに知っているわけではなく、記事から考えられる推測になるが)政府側が情報のスピードを意識するあまり、自治体の意向を聞くことのできないまま、情報共有しようとしているのではないか。また、自治体側も多くの情報に混乱し、実際に対応に移すことができない状態になっているのではないか。

政府・自治体の両者に共通する課題は、「どの情報が必要なのか」ということが認識できていない点だろう。その原因は、上述の通り、①政府側から出される情報が網羅的で多すぎる②自治体側からのフィードバックがない③自治体側が独自に判断できない(権限面・スキル面の両面において)の3点が少なくても挙げられるだろう。

①に関しては、記事でも述べられていたように、通知の内容の重要度をランク付けする必要があると思う。また、情報をカテゴリー別に分類して届けることが必要だ。関連情報をすぐ出せるようにするシステムとしてAIのサジェスト機能を使うなどのことも考えられる。

②に関しては、各自治体が欲しい情報がわからないという意味である。そのため、自治体側からの積極的な発信ができる仕組みづくりが必要である。自治体側も現場の実態がわかっていないケースもあるため、そこの改善も必要だ。

③は②と非常に関連性があるが、自治体側にどの情報が必要なのかを判断できる人材が必要だということだ。記事にもいかのような指摘がある。

神戸大の砂原庸介教授は「実務を担う個々の自治体に十分な知識を持つ専門組織がないため、国と情報共有するのに通知が使われる」と説明する。「コロナ禍では通知とセットの説明会も開きにくく、実効性のある情報共有は簡単ではない」との認識を示した。

このように、自治体が独自で判断できる仕組みづくりと、判断することのできる人材の登用も重要になってくるだろう。

#日経COMEMO #NIKKEI

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