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ファーストペンギンに 独占インタビュー

——全国の少年少女諸君、おはようございます。本日は、「きびなご水族館」様の全面協力のもと、元ファーストペンギンのペンギンさんにインタビューしていこうと思っています。どうぞよろしく。

ペンギン: ペンペン。

——さっそくインタビューに入りたいのですが、それにしても毛並みがすごいですね(大爆笑)

ペンギン: 恐縮です。

——では最初にですね、もしかしたらペンギンさんのことをあまり知らないよーって読者もいるかもしれないので、軽く説明させていただきます。
ペンギンさんは、分類でいうとアデリーペンギンという種にあたり、元々南極大陸で狩りなどをされてました。その後、茨城県のきびなご水族館に活動の拠点を移されたということです。
改めて経歴をふりかえってみると、その偉大さを思い知らされるばかりでございます。

ペンギン: 最近は、水族館生まれ水族館育ち海生哺乳類のやつはだいたい友達ペンギンが多いですからね。

——やはりそうでしょう。ペンギンさんのように南極大陸での経験があるという方はなかなかいませんし、さらにペンギンさんは、ファーストペンギンだったことがあるということで、当時のことを教えていただきたいのです!

ペンギン: そんなに気になります(笑)

——もちろんです!

時折、頬を赤らめながら

ペンギン: そんなに自慢するような話でもないんですけどね

——またまた!!この謙虚な姿勢からは想像できない勇気!!ますます気になる方です。
一応、ファーストペンギンの説明をしておきます。ペンギンは群れで生活されるのですが、リーダーなどはおらず、最初に行動した者につづく習性をお持ちです。そしてエサを摂るために危険な海に飛び込むとき、1番最初に勇気を振りしぼり飛び込む。これがtheファーストペンギンなのです!!!
ペンギンさんは、何度くらいファーストペンギンになったのでしょうか。

ペンギン: 数え切れないですが、1000はくだらないです。

——(声を失う)(声を取り戻す)っ...まじで!?
あ、失敬。すごい数で驚いてしまいました。1000ですか...
1度ファーストペンギンになると、慣れるものなんです?すみません、なんだか失礼な質問かもしれませんが。

ペンギン: 慣れるはずがありません。海の中には、私たちを心待ちにしている海獣たちがいるわけです。今まで他のペンギンが食われるのを何度みたことか。

——そ、そうですよね。失礼しました(深々頭を下げる(どうもここでイヤリングをなくしたらしい))
ペンギンさんご本人も恐ろしい体験をされたことはあるのでしょうか?

ペンギン: シャチに襲われたことがあって、私に続いたすぐ後ろのセカンドペンギンが食われたことがありました。シャチのヒレに強打され傷も残りました(背中の傷を見せる)

動揺する記者

——あ然という言葉があれば使っているでしょう。
では、読者もそして私自身も1番気になることを聞いてもよろしいですか?
そこまで恐ろしい思いをしながら、なぜペンギンさんはファーストペンギンであり続けたのでしょうか?

ペンギン: 周りの圧力です。

——え?

ペンギン: 最初は友人同士のノリでうぇーいって飛び込んだんです。そしたら後ろに続いて来ちゃって。それからも数回は、「お前が飛び込めよ」「いやお前いけよ」みたいなノリで飛び込んでたんです。段々、周りの関係ないヤツらも期待した目でこちらを見るようになって。

——そ、そうなんですね。なんだか、、

ペンギン: いや、そうですよ。なんか人間界では、勇気がある、ベンチャー精神だとか言ってビジネス用語なんかになってるけど。意味わかんないです。

——すみません、てっきり...。でも、勇気があることに変わりないですよ。

ペンギン: たぶんあなた達も同じ状況だったら飛び込まざるを得ないですよ。あの大人たちもセコいですよ。若者が海の恐ろしさを知らなかったことを良いことに、今日も飛び込むんだろ?みたいな空気つくって。
何度か「いや今日は無理っすよ」って言ったんですけど、周りのヤツら何も言わないんです。「駄目だ、お前が入れ」とか言ってきたら口論とかできるのに、ただ冷たい視線を送るだけ。

——惨いですね...

ペンギン: だから水族館に連れてくために人間が南極まで来たって聞いた時は、人間たちの船に真っ先に乗り込みました。その時だけは真のファーストペンギンだったかもしれないです。

——…もし、この記事を南極にいるペンギンたちが読んでくれてるとしたら、なんとお伝えしたいですか?

ペンギン: 水族館は地獄にちがいないだとか言ってたヤツらに、渾身のざまぁみろですね。よちよち歩きしてるだけで魚くれるこの環境のどこが地獄なんだって話ですよ。

——なるほどですね。それでは、本日はお忙しい中、インタビューに応えて頂きありがとうございました。

ペンギン: こちらこそ。

——最後に、ミーアキャットポーズっていうのがあるのですが、ごいっしょにして頂いても―

ペンギン: やりましょう。

——すみません(笑)。それでは、せーの(お馴染みのミーアキャットポーズ)

ペンギン: (衝撃のミーアキャットポーズ)


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