ドヴォルザークの交響曲は、5番が一番オススメな理由
ドヴォルジャークの一番の名曲といえば、交響曲第9番《新世界より》だと多くの方が言います。
また、彼の書いた9つの交響曲の人気ランキングで言っても、9番→8番→7番の後期3曲が王道と言えます(後の曲になるほど人気)。
しかし私は、ドヴォルジャークの作曲家人生にとって大きな転換点であり、彼の交響曲を語る上でのポイントともいえる「交響曲第5番」の存在を欠かしてはいけないと思っています。
本記事では、私がドヴォルジャークの名曲に「交響曲第5番」を挙げる理由について解説したいと思います。
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交響曲第5番を名曲と考える理由
後の名曲を生み出すきっかけとなった曲だから
ドヴォルジャークの後期の交響曲(特に7〜9番)は言わずもがな有名であり、名曲と呼ばれていることは確かですので、これを否定するつもりは全くありません。
ただし、これらの名曲が誕生するきっかけとなった“影の名曲”として、交響曲第5番を忘れてほしくないという思いがあります。
なぜ“影の名曲”と言えるのかは、ドヴォルジャークの交響曲の書きっぷりから考えられます。
ドヴォルジャークの交響曲は第1番〜第4番まで、R.ワーグナーの影響を受けています。
一方で第5番以降の交響曲では、ボヘミアを意識したスラブ調の音楽に変化しています。
この、作曲方針を変えた転換点が交響曲第5番となるため、有名な交響曲第7番〜第9番の魅力を語る上では、第5番を欠かしてはいけないと考えています。
都響のYouTubeで、指揮者・大野和士氏も同じように解説されていました。
作品番号問題から想像して
出版当初、第5番の作品番号は現在の第6番・第7番の次に割り振られていたため、第○番の割り振りが現在と異なっていたのは、ドヴォルジャークの交響曲の中で有名なエピソードとして知られています。
その原因は、出版社のジムロックが適当に割り振ったため、で片付ければそれまでなのですが、無理くり理由をつけるならば、交響曲第5番が第6番・第7番より魅力的に感じられたから、ではないのかな〜と想像してしまいます。
良い意味で“ダサい”から
名曲だと言っておきながらこんなこと言うのもアレですが(笑)、はっきり言って交響曲第5番は、それ以降の曲と比べれば決して熟成しきった曲とは言えず、良い意味でダサい曲だなと印象を受けます。
ただ、これを「ダサい」で一括りに酷評できないのがミソかなと思います。
ボヘミアののどかな雰囲気と、それをなんとか音楽で表現しようとするドヴォルジャークの思いが感じられるからです。
まとめ
プロオケでも滅多に演奏されることのない、ドヴォルジャーク『交響曲第5番』ですが、個人的には彼の名曲リストの一曲に入れて良いのではと長年思っています。
ボヘミアを意識した、民族的な音楽を交響曲に取り入れるきっかけとなった曲だから
ジムロックは第6番、第7番より魅力的に感じたから(これは根拠のない想像です)
熟成しきっていない、良い意味でダサい音楽が魅力的だから
私が名曲として挙げる理由はこんなところです。
名曲リストの仲間に入れてほしいという思いもありますが、それ以前にもっと演奏されるべき曲だとも思いますね。
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