ピッチ・プレゼンは魅せ方が鍵~参考になるIR資料③PMF編~
YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の大久保です。本シリーズは、投資基準8選に対応する形で、プレゼンの際に参考になりそうな資料の備忘録です(随時更新)。今回は投資基準のPart3”PMF”に対応してます。参考文献まとめはこちらです。資料は主に、上場タイミングで公開する「成長可能性に関する説明資料」から抜粋してます。
質的KPIの比較
メルカリ:
”質”的なKPI(リピート、CVR、アクティブ率、滞在時間etc)の異常値がよく伝わります。利用時間でSNSのfacebook超え、アクティブ度合い(DAU/MAU比率、DAUあたりの閲覧商品数)も世界のアリババ超えという分かりやすさです。
メルカリ:
”量”を説明するKPIですが競合比較が分かりやすく、異常値が際立ちます。
メルカリ:
こちらは”質”を表すKPIですが、他国内ECと比較した時の異常値感が際立ちます。ここまで差があり、ECにも関わらず、SNSと同等の数値なのは驚異的です。
メドレー:
価格優位性というB向けプロダクトでの分かりやすい強みが説明されてます。オペレーションフロー図を用いた従来との比較はあらゆるサービスで使えます。業界構造に疎い人にも優しい説明です。
ギフティー:
価格構造を可視化することによるコスト優位性の説明です。オペレーションフロー図と組み合わせることでより分かりやすくなります。
導入事例の定量的結果
カオナビ:
導入事例の効果を定量的に可視化するのはとても有用です。時間の短縮、離職率の低下等ビジネス的に意味のある効果検証が分かりやすく説明されてます。
マネーフォワード:
こちらも導入事例の定量的な可視化です。顧客満足度を自社アンケート結果によって表し、また、時間短縮も可視化してます。顧客満足度はNPSを、IR資料に用いることもあります。
マネーフォワード:
法人向けの効果検証の可視化は多いですが、これは一般消費者向けの”節約度合い”の定量的可視化を実施しており面白いです。
リンク:
よくある、節約時間、コスト削減以外の提供価値を可視化(欠品率、在庫金額)しており面白いです。想定している提供価値を定量的に可視化するのはPMF検証の鉄則です。
マクアケ:
リピートの多さもPMFの一つの指標です。リピートユーザーも積み上がり、売上構成比率も伸びていっているのがわかり、とてもいいです。
JMDC:
顧客数(取引健保数)ごとの継続数のミルフィーユ図です。直近、導入しているところは、ほとんど解約しておらず、非常にチャーンレートが低く、顧客から支持されていることがとても良くわかります。
wantedly:
導入後しっかり使われているか、というのは、顧客価値を提供できているかを判断するに有用な数値です。継続するか否かを判断する先行指標としても有用であり、90%という高い数字をしっかりアピールできてます。
フリー:
顧客インタビューも有用な情報です。課題、ソリューション、インパクトのセットが整理として分かりやすいです。ユーザーの声も1次情報なのでいいです。
ユーザー属性の説明
ZUU:
誰が使っているのか、という情報はプロダクト説明では必須です。これくらいの粒度で可視化されてるとユーザーのイメージを伝えやすいです。
Progyny:
米国では、PMF証明の指標としてNPS(ネットプロモータースコア)が使われてます。71点という高い数値です。NPSは顧客満足度をアンケートにより定量化する手法です。米国では上場企業の3分の1にあたる企業が実施してるとされてます。
SmileDirectClub:
こちらもNPSの推移を示しています。それに加えて、レビューサイトで高評価を得ていること、20%に及ぶ顧客が紹介の獲得であること、等により、顧客に支持されていることを示しており参考になります。
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