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投資基準8選 Part2"チーム"

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はじめに

 YJキャピタル(ヤフーのベンチャーキャピタル)の大久保です。ツイッターも是非フォローください!今回は2つ目のPart”チーム”についての記事です。投資基準8選のサクッとおさらいしたい方はコチラを是非ご一読ください。また、チームに関わるプレゼン参考資料はコチラのシリーズも合わせてご参考ください
 チームが重要というのは、当たり前すぎるのですが、特にシード期において最も重要視されます。「事業領域を世界一知り尽くしており、構想力、巻き込み力、実行力に長けたチームで、自分たちが最も適任である」ということを示したいです。

Founder/Product-fit & Founder/Market-fit

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 ”世界一自分たちが相応しい”と主張する文脈で、 Founder/Market-fit(チームが市場に精通) & Founder/Product-fit(チームが開発すべきプロダクトのcapabilityを備えているか) という言葉があります。  PMF(Product/Market-fit)はよく聞きますが、チームと、市場及び事業の相性も重要である点は云うに及ばすです。上図の3つの円が重なっている領域のように、Founder/Product/Market-fitが成り立つ事業領域が理想的と言えます。近年、ピュアインターネットで創業できる領域が限られており、「業界知見×IT」の起業傾向が増えつつあるので、事業とチームの相性はより重要になると思います。したがって、当該事業に対して、ファウンダー自身の過去の経歴・経験がどう活用できるのか、という点はmtgでもアピールしたいところです。

▽おまけ
Founder/Market-fit チェックリスト yesの数の多さで相性チェック
・毎週金曜日顧客とお昼に行くことが苦ではないか
・顧客ヒアリングしなくても80%以上の確度で正しい意思決定をする自信があるか
・少なくとも10名のマーケットのインサイダーとコネクションがあるか
・マーケットは年率10%で成長しているか
Founder/Product-fit  チェックリスト yesの数の多さで相性チェック
・日々の業務が好きといえる、プロダクトの内容になっているか
・自分が得意な領域のプロダクトの内容か
・数年の間売上が立たなくても、素晴らしい時間を過ごしたと思えるか

参考記事

VCは何を見ているのか

 チームと事業の相性・経験値を活かせるのかが重要視されることは上述しました。では、それ以外の要素で「チーム」の何をVCが見ているのかについていくつか紹介します。

▽Yコンビネーター TOP10%の起業家の見極め方
 ①エクゼキューション能力が卓越 → 毎週PDCAにより学習
 ②鬼気迫る凄さ → グリット力
 ③コミュニケーション能力 → ユーザー、チーム、投資家と柔軟に
 ④モチベーションの源泉 →継続してやり続けられるか
 ⑤この起業家は5年後にはビッグになる資質を備えているか?
 ⑥世界一ふさわしいチームか
ベンチマーク 
 ”市場に関して起業家しか知らない”秘められた事実”があること”
DCM ホームランを打てる起業家の条件
 ”1. 自らのプロダクトに精通している”
 ”2. 良い意味での強い思い込みがある”
 ”3. 仮説やデータを回しながら意思決定できる”
 ”4. 目線を高く持ち続けられている”
▽KLeiner Perkins
 "過去経歴、実績”
 ”ストーリーテリング力”
 ”採用力”
 ”チームのバランス”

表現の違いこそあれ、要素としては前述の経験値に加え、①構想力②巻き込み力③実行力の3点が重要視されていることがわかります。
①構想力
 大きなビジョンを掲げ具体的に戦略/戦術に落とし込む能力のことを指します。実際に、領域のことを調べ尽くしているか、世界一当該領域のことを熟知しているか、factに基づいて論理的な思考をすることができるのか、といったことを会話を通してアピールしたいです。
②巻き込み力
 起業家は巻き込む力が随所で求められます。採用、資金調達、営業力、パートナー集め等、周囲を巻き込んでいく能力が非常に重要となります。巻き込み力の有無は短いmtgでも伝わるので、しっかり伝えていくと良いです。
③実行力
 これは、プロダクト開発力、PDCAの高速回転力、有限実行力等、しっかりエグゼキューションに落とし込める能力を指します。特に、どんな優秀な起業家も1つ目のアイデアでそのままグロースすることは稀であるため、実行力・諦めない力は投資家もかなり重要視しています。「やるか、超やるか」といった起業家のグリット力は非常に投資家にも刺さると思います。

いずれの能力も創業者1名で実現するというよりは、チームとしてバランスを保ちつつcapabilityを保有するのが現実的かと思いますし、それに基づいたチームビルディングが重要だと思います。

おまけ(個人的に印象に残っているので)
【インベスターZに登場したホリエモンの出資条件3ヶ条も上記にマッチ】
不老不死の技術を作る起業家に対し下記3つを指示
1. 実現可能性をロジカルに説明せよ
→”ロジカル力”のテスト(構想力)
2. 札幌までヒッチハイクで来い
→”恥を気にせず営業する力”のテスト(実行力)
3. 広大な畑の草刈りを1日でせよ
→ “他人を巻き込む力”のテスト(巻き込み力)

フェイズごとのチーム構成

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 フェイズごとにもチーム・組織での解決すべきテーマは変わってきます。それぞれの時期について自問自答する問いをおまけとして下記に記します。特に、PMF前に関してはエンジニアを中心としたPDCAを回せるチームでバーンレートを抑えるのが重要です。PMF達成前に、チームが肥大化しバーンレートが高いのは問題視されます。PMFが達成後、プロダクトの仕組み化、マーケ・営業の加速の段までは、採用は控えつつリーンな検証を心がけましょう。初期のチーム構成として理想的とされるのは、ハスラー、ハッカー、ヒップスターの3役が揃うことです。
①ハスラー
「ビジネス」と「顧客」と「市場」を深く理解している人
②ハッカー
最新のテクノロジーに精通し、それを使って事業を変える人
③ヒップスター
デザイン面のリーダー
+α ホットショット
高度に専門的な何かに挑戦している場合には、その分野の専門家

おまけ(0to100会社を育てる戦略地図)
【→0:起業前夜(1人)段階の問い】
・事業に想い入れあるか
・アイデアがあるか
・周りの共感を得たか
・応援してくれる仲間がいるか
・一言で事業テーマを伝えられるか
【1→10:商品の完成(社員3~20人)での問い】
・複数クライアントいるか
・商品仕様は決まったか
・セールスポイントは明確か
・クライアントの声を活かしているか
・値付けの検証を進めているか
・売る仕組み作りができているか
【10→30:採用と組織づくり(社員20~50人)での問い】
・即戦力の採用が必要になっていルカ
・中間管理職が育っているか
・採用した人が3ヶ月以内に辞めてないか
・権限委譲をできているか
・採用は多様性より均一性を意識しているか
・人事制度等内部体制が整ったか
【30→50:新事業開発(社員50~100人)での問い】
・リピートされる定番商品あるか
・商品・販路・販促・値付けは最適か
・取引先との関係は強固か
・多様な人材を確保できてるか
・新規事業の成功イメージがあるか
・権限委譲できてるか
・複数事業に取り組んでるか
【50→100:上場に向けて(社員100人~)での問い】
・監査に耐えうる社内体制か
・資本効率を高め事業価値を最大化してるか
・事故に対応できる危機管理体制か
・ビジネスホテル・資本・ヒトで競合優位性があるか
・事業計画上、いつまでに、何をするか説明できるか

おわりに

 今回は8つの投資基準の内、Part2のチームを記事化しました。シードからレイターまで全てのステージで重要視される要素となります。特に、シードに関しては、チームに投資するといった趣旨も強いので、しっかり自分たちの強みをアピールするための準備をするのが望ましいです。まずは、圧倒的に領域について詳しくなりましょう。

付録:想定質問例

・過去の経験・職業の経験が本事業に生かされているか
・世界中で一番本領域を知り尽くしている自信があるか
・チームでの役割分担/バランスはどうか
・これまで成し遂げたことを教えてください
・なぜ起業したのか、どうやってこの事業アイデアにたどり着いたのか
・本市場において自分しか気づいていない隠された秘密はなんですか
・ビジョン及び、どういう企業にしたいか教えて下さい
・今後10年コミットできる事業領域ですか

合わせて読みたい記事

全体概要】VCの投資基準8選 〜VCとのMTGをHackする~(リンク先詳細)
①タイミング(リンク先詳細)
②チーム(本記事)
③PMF(Product Market Fit)(リンク先詳細)
④競合優位性/勝ち筋(リンク先詳細)
⑤マネタイズ(リンク先詳細)
⑥グロース戦略(リンク先詳細)
⑦市場/ベンチマーク(リンク先詳細)
⑧ROI/投資収益性(リンク先詳細)



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