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あの人に会いたいと思う私の背中を押してほしいの文

会いたい人はいるだろうか。
彼女、家族、友達、遠距離、時間、消息不明・・・・
理由や相手、その関係性は様々あると思う。

私が会いたいのは80歳近いおじいさんである。

あの人と最初にあったのはもう12年前。
カフェのマスターである。昔に描いた「AZ」である。

別に遠くにいるわけでも時間がないわけでもない。
距離なんてせいぜい1kmあるかどうか。
私は土日も何ならお昼でも行こうと思えば行ける。

なぜ会いに行かないのか。いけないのか。

怖いのである。

なぜ怖いのか。
海外にいるときに、半年に一度手紙を送っていた。それに返信を頂いて、それを読みながら日々の勇気にしていた。
また、お店に行くときはメールを送り、返信を確認してお店に足を運んだ。

だが昨年の秋頃。
「お店を辞める」とあの人が言ってから足を運ばなくなった。

私は別にコーヒーを入れてほしいから通っていたわけでもなく、
あの空間に座り、彼の話を聞いてのんびりする。
そんなたわいもない日常が好きだった。12年も言っていたのだ。もはや生活の一部だった。

家よりも大事だと思っていた場所。

なら、なぜ行かないのか。


カフェをやっていない時にお邪魔する。でもそこはお店ではない。それはプライベートな空間。何気なく入っていい場所ではない。

彼は歩くのも大変と言っていた。
もし私が遊びに行ったら、気を使うだろう。
大変でも歩いてコーヒーを淹れてくれるかもしれない。

もしかしたら家族とゆっくり過ごしたいのかもしれない。

「また暖かくなったら少しお店を開けるかも」
彼はそう言っていた。

だけどお店は開いていなかった。

手紙を送った。返信はなかった。
メールを送った。返信はなかった。

慣れないスマホに戸惑っているのだろうか。
あくまで「客」なのだからもう会う必要はないと思ったのだろうか。
もしかたら、もう・・・

想像はより暗く、悪い方へと向かってしまう。
私は女々しいのだろうか。
ただ、普通のたわいもない話をしたいだけなのに。


最近、仕事帰りに遠回りをして見に行ったことがあった。
遠くから見たそこは「休店日」の看板も、テラスの椅子もなく、
洗濯物が気持ちよさそうに干されていた。

もう、私の靴音を響かせて良い場所ではなかった。

より突き放された、そんな気持ちになった。勝手に。

彼は元気だろうか。ただそうであってほしい。

まだ、もらった本を読めていない。


私なんかにサポートする意味があるのかは不明ですが、 してくれたらあなたの脳内で土下座します。 焼きじゃない方の。