A子さんを訪ねて—阿佐ヶ谷探訪記
……こんなにいい街で暮らしてしまって
君はニューヨークに戻って来られるんですか?
『A子さんの恋人』第6巻 p.74
駅を出てすぐに広がる、まったくシャッターの下りていない商店街、朝の9時から夜の2時までやってるレトロな喫茶店、聖地でもないのにばったり入ってしまった古書店
阿佐ヶ谷は、漫画『A子さんの恋人』のA子さんたちが愛した街。
たったの1日歩いただけで、A子さん(とK子さんとU子さん)が暮らしたこの阿佐ヶ谷が、私は大好きになってしまいました。
0.阿佐ヶ谷で聖地巡礼マップ
『A子さんの恋人』で登場する阿佐ヶ谷のスポットは、だいたいJR阿佐ヶ谷駅から徒歩10分圏内にあります。
駅近で懐かしいものから新しいものまでだいたい揃っています(所感)
1.すべてはここから JR阿佐ヶ谷駅
漫画の1発目で登場する聖地、JR阿佐ヶ谷駅!
3年ぶりにアメリカから帰国したA子が阿佐ヶ谷のアパートから親友のK子とU子に会いに行くシーンで出てきます。
この駅でA子が元彼のA太郎に見送られたり、緊急来日したAくんを見送ったり…
『A子さんの恋人』に出てくる人々は基本電車移動なので、阿佐ヶ谷駅は物語中によく登場します。
ここでばったり会ったり、お別れしたり。
A子たちの生活拠点、阿佐ヶ谷駅に降りた時、とても感慨深い気持ちになりました。
2.「本はここ」書楽 阿佐ヶ谷店
『A子さんの恋人』読者なら一度は訪れたい書楽さん。
第5巻でA子と、U子の彼氏・ヒロ君が初めて会う場所。A子たちの待ち合わせに使われている本屋さんです。
↑コミックコーナーでは、第5巻でまさにA子とヒロ君が初めて遭遇するシーンの原稿が飾られていました!(撮影許可を頂いて撮影しています)
(近藤さん本当に字が綺麗ですね…。)
せっかくなので、近藤さんのコミックエッセイ『ニューヨークで考え中②』を購入。よい記念になりました。
『A子さん恋人』の他にも漫画の原稿が飾られていたり、作家さんのサインが展示されている作品も多くありました。近所に欲しい本屋No.1。
3.ブランコ椅子で話をしよう gion
外観からして、これは一癖ありそうだ…!と思わずにいられなかった喫茶店、gionさん。
こちらは、第4巻でU子とA太郎の仲を勘違いしたヒロ君がA太郎を一発殴ってしまい、謝るシーンで使われた場所です。
↑漫画の中でA太郎とヒロ君が座った、「ブランコ椅子」のある席に座れました。
中は素敵な装飾でいっぱい!
店員さんはメイドさんの制服を着ていて、一昔前にタイムスリップしたみたい。店内は禁煙席と喫煙席に分かれていて、常連さんと思しきお客さんもたくさんいました。
定番はナポリタンのようですが、時間的に飲み物+90円でモーニングを頼みました。
ディープな夜の時間にもまた来てみたいです。
4. 阿佐ヶ谷の象徴 阿佐ヶ谷パールセンター
この特徴的な形、阿佐ヶ谷駅を出てすぐに見える商店街、「阿佐ヶ谷パールセンター」です。
『A子さんの恋人』では主に第5巻で登場します。
A子、U子、K子(とI子)が集まった中央線の女たちシリーズでは、A子たちが阿佐ヶ谷周辺で尾行したり呑んだり怒ったり目から鱗を落としたりします。
その所々で登場するのが、特徴的なドーム型をした阿佐ヶ谷パールセンターなのです。これがあることで、とりあえず登場人物が阿佐ヶ谷にいることがわかります。
実際に阿佐ヶ谷パールセンターに行って驚いたのが、人の多さ、お店の多さ。
漫画の中でも人通りが多めに書かれていますが、実際にも多く、個人店とチェーン店がバランスよく一緒に栄えているので、歩いていてとても楽しい。
結構長い通りですが(体感1km以上はあったような)、同じ商店街の中に
・サンマルクカフェ
・ベローチェ
・上島珈琲店
・星乃珈琲店
があり、さらに阿佐ヶ谷駅にはスタバもあります。まさに、カフェの激戦区!
↑ここも実は『A子さんの恋人』の聖地。第1巻で正月に”黒出目金”のお年玉を持ってA子の家に押しかけたA太郎を、A子が追いやった場所。A太郎はシナモンスコーン派、A子はチョコ味が好き。
5. 「山田がね♪」 サンマルクカフェ
阿佐ヶ谷パールセンターの中にある、サンマルクカフェ。第5巻でA子たちの元へ急ぐK子を引き留め、I子が山田くんとの惚気話を閉店までしたサンマルクカフェ。
佇まいが海外のカフェみたいで、おしゃれな雰囲気です。
中は結構広く、落ち着いているので、I子が閉店まで話し続けたのもわかる気がします。
6. 誰かを待つならここで
ラプュタ阿佐ヶ谷、寿々木園
①ラピュタ阿佐ヶ谷(映画館)
A太郎が美術講師のU子とご飯をするのに時間を潰した場所。古い映画が見られます。ジブリに出てきそうな建物…!
②寿々木園(つり堀)
阿佐ヶ谷を引っ越すU子とK子が、別れを言うためにA子を待った場所。A子たちの学生時代にも登場しました。日曜の朝ですが、家族連れや近所の人でいっぱい…!
人気スポットのようです。
7. SINCERITAでジェラートを
第5巻、第6巻で出てくるSINCERITAさん。ジェラートが有名で、訪れた時もたくさんの人が並んでいました。
↑ヒロ君が「メルノワははずせないよね」と言っていたので、メルノワとヨーグルトのduoにしました。
第5巻では、U子の実家(秋田)に結婚の挨拶をしに行く際、手土産として選ばれています。
ジェラートを持っていくのに阿佐ヶ谷から秋田まで飛行機で行ったのがヒロ君の良さ。
↑「U子さんの恋人」編の扉絵は、まさにSINCERITAの前の通りの風景と完全に一致。
第6巻ではA子が緊急来日したA君を連れてきました。漫画で登場する、A子とAくんが、近所の子供達とSINCERITAの前のベンチで写真を撮るシーンがお店の前に飾られていました。
阿佐ヶ谷に行ったことがない人、阿佐ヶ谷に初めて来た人にぜひ食べて欲しい味なのかもしれません。
番外編
A子さんが行ったかもしれない場所
ここからは、聖地ではないけれどたまたま通りかかった素敵な場所をご紹介します。
①古書 コンコ堂
SINCERITAに行く途中で見かけた古本屋さん。外には美術書や美術の教科書、文庫本などが置かれていて、気になって中に入ってみました。
雑誌POPEYEが平積みにされていて、なんとなくめくってみると近藤聡乃さんが寄稿したページが!
漫画のコーナーでは『A子さんの恋人』が全巻そろっており、さすがでした。他にも映画や音楽の評論、哲学書、絵本などなど…文化系にはたまらない空間でした。
② 第2横川ハイツNO2キングダム阿佐ヶ谷
これはたぶん普通のビルなんですけど…外観がすごいおしゃれ。これもSINCERITAに行く途中で発見しました。
ビルの名前に「キングダム」とあるのが萌えポイントです。
③ 阿佐ヶ谷神明宮
SINCERITAから阿佐ヶ谷駅方面に帰る途中で発見した、阿佐ヶ谷神明宮。境内は森のように木々に囲まれていて、人が多すぎず少なすぎず落ち着いていて荘厳な雰囲気。
↑境内に立派な能楽殿があります
地元にこんなに素敵な神社が、しかも駅近にあるなんて…混んでいる初詣が嫌いなA子たち(第1巻参照)ならここに来ているかも?
おわりに
本当は、名曲喫茶ヴィオロンや夜のスターロードなど、行きたい場所はまだありましたが今回は見送り…><
たった1日でしたが、一緒に巡った友人が「旅行に来たみたいだね」と言っていました。
聖地として知った阿佐ヶ谷ですが、漫画で読んだ通り本当に素敵な街でした。
また行きたい、というか住みたいです。
『A子さんの恋人』聖地巡礼 阿佐ヶ谷編 完.
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